Are You Listening? / Dolores O’Riordan

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5 Are You Listening? / Dolores O’Riordan (2007)

頼んでもいないのに、いつだって容赦無く始まってしまう1日。とはいえたまにはいつもと同じ様で違う1日になるかもしれません。ひょっとしたらそうなりそうなキブンにさせてくれる、そんなアルバムでした。

我が家を出る時に聴き始め、いろいろな乗り物に乗り、目的地につく間のテーマ・ミュージックとしてしっくり合うため、半年程、外に出る日は必ず聴いていたものです。ただあまり浸りすぎると、なんとなくふらっと消えたくなってしまうのが難。まるで羽がついたかのように。

1989年結成、2002年一旦休止するも、’09年に再結成を果たした、アイルリッシュ・ロック・バンドの重鎮連の一つ、ザ・クランベリーズ。これはそのかけがえのないヴォーカリストとして知られる、’71年9月6日、アイルランド・リムリック生まれのシンガー・ソングライター、ドロレス・メアリー・アイリーン・オリオーダンが、’07年、初めてつくったソロ・アルバムでした。

3人の子を産み、育てながらもスリムなままだった暮らしぶりから窺い知れるように、ケルティックな伝統性を内に秘め、ポップでありつつエッジをきかせた骨のある音楽性は変わらず。むしろ、へたに触るとやけどしそうなくらい真っすぐだった尖鋭的な面は影を潜め、ナチュラルな佇まいになったのが好ましく感じられます。まるくなったのではなく、自然体で芯の強さがにじみでるという。

ダン・ブロッドベックを始め、ユース等が共にプロデュース。詩情豊かにあふれ、尖ってはいるものの、ちょっぴり牧歌的なオルタナティヴ・ポップ・ロックが爽やかにくりひろげられます。曲によってとりいれられるユーモラスなピアノの音がアクセントに。メロディーの美しさも光ります。

すがすがしい”Ordinary Day”、ノスタルジックな”When We Were Young”、エクセントリックな”In The Garden”等、曲もつぶぞい。せつなさに情感籠る”October”は、正にその真髄作といえるでしょう。

極めつけはやはりその歌。愛らしい声で”張りつめ、刺す様に歌う”といわれた、伝承歌唱風に裏声交え、エモーショナルに煽るヴォーカルはそのまま。さらに磨きがかかって、狂おしくもたおやかな歌がさらっと決まっています。いいかたちで歳を重ねていったのがわかるゆえんです。

今も時折晴れわたった日の朝に聴きたくなります。見えない羽をつけるために。

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