HAWHOKKKEKYO 真説大衆音楽”洋”語辞典
Soul Train
-A-
“……hippest trip in America”
というドン・コーネリアスのコールで、いつもそのヒップな旅は始まりました。
“Soul Train”……アフリカン・アメリカンの、アフリカン・アメリカンによる、アフリカン・アメリカンの為の、ディスコティック系音楽番組として知られるTVショウですね。
ベーシック45 – 48分番組としてつくられたそのショウ、基本的な作りとしては、ラジオのDJ音楽番組風に次々曲が流れ、それに合わせてフロアいっぱいの”ソウル・トレイン・ダンサーズ”が踊るというもの。初め”ソウル・トレイン・ギャング”と名づけられた”ダンサーズ”はそもそもオーディションでピックアップされたフツーの少年少女達でした。さらに数組呼ばれるゲストもその真ん中に立ち、リップシンクで(例外有り)パフォーマンス、ヴァーチャル”ディスコティック”に華を添えます。呼びものとなったのが、”ソウル・トレイン・ライン”。そもそもは男と女でそれぞれ1列のレーンを奥のほうから踊り乍ら練り歩いてくるというもので、どのくらい粋に決められるかを競っていました。それはもうレッド・カーペットの如く。
しかし初めこそフツーの人だった”ダンサーズ”の中からもスターが現れます。ジャーメイン・スチュアート、MCハマー、ペブルズ、そして後年米NFLの伝説的ランニング・バックとなるウォルター・ペイトンら。後のグラミー賞シンガー、ジョディ・ワトリーもその中で頭角現し、ダンス・パートナーだったジェフリー・ダニエルと共に、ミリオンセラーも含めヒットを多数放つR&Bヴォーカル・グループ、シャラマーを組んでいます。
ダンスをしているだけで、スターダムへのしあがる道を拓く夢も叶う。つまり今でいうならあたかも”アフリカン・アメリカン・アイドル”の様なもの。進化系の黒人文化育成番組でもあったと。
そして時は瞬く間に過ぎ、そんな正に夢のダンス・クラブはあっという間にエンディング、コーネリアスのやはりいつもお決まりのコールで締めくくられます。
“……We wish you love, peace, and SOUL!”
<つづく>
