毎回、ソウルをぎゅうぎゅうにつめこんだ汽車ががしゅがしゅやってくるのを心待ちにしていたものです……オープンリールのテープレコーダーをかたわらにセットし、テレヴィジョンの前で。
そしてあのどすのきいた低い声と共にショウが始まって……それはいつまでも終わってほしくない、夢の一瞬間でした。
アフリカン・アメリカンが決してそれほどまだ世間的に認められていなかった1970年代初め、ダンスを核とする黒人系音楽専門番組として始まった”Soul Train”。ゲストを多少交えるものの、基本的構成はオーディションで集まった”ソウル・トレイン・ダンサーズ”がディスコティックさながらに踊るのをただ眺めるだけの、それだけのプログラムでした。しかしそれが当時画期的だったのです。そして、おもしろかった。似たようなものがかつて全くなかったわけでもないのに。たぶん、それは創る人の熱さゆえ。さらに’70sアフリカン・アメリカンの”Black Is Beautiful”パワーなども絡んでいたからでしょう。
かくてその新感覚番組が音楽界へ(実社会においてすら)もたらしたものは小さくあらず。ダンス、ファッション、ミュージックを基にしたアフリカン・アメリカン・カルチャーを、思想性も含め総合的に世の中へ示す発信源として、唯一、無二の存在へ。あまつさえ、それを楽しさあふれる中で伝えていったのですから。正に、とてつもない宝となったのです。
そんな偉大な番組を創造し、栄えあるプロデューサーとして、そしてホストとして、広く世に知られたのが、ドン・コーネリアスでした。落ちついていてダンディー、とはいうものの話がかくべつ弾むわけでもなし。しかしその胸をくすぐる魅惑的低音と控え目な佇まいがかえってクールな信頼性を漂わせていたものです。アフリカン・アメリカンを真底愛す、シカゴ生まれのヒップなソウルマンでした。
I Thank You, Mr. Donald Cortez Cornelius (1936.9.27 – 2012.2.1)
Love, Peace……and SOUL!