Record Makers’ Rhapsody
vol.6 ARISTA
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以後、同社は西独のBMGの資本系列下に入ったりもしますが、クライヴがかためた最先端のヒットものとニュー・スタンダードとなるアダルト・コンテンポラリー系音楽を中心点に置く基本的路線は変わらず。エア・サプライ、ディオンヌ・ワーウィック、アレサ・フランクリン、トンプソン・ツインズ、エクスポゼ、エイス・オブ・ベイス、そして替え玉問題でグラミー新人賞剥奪というみそをつけたものの’89年一世風靡をしたミリ・ヴァニリらグローバルなスターを集め、コンスタントにヒットを飛ばしつづけています。
とくにホイットニーは不世出の宝でした。先の話と異なりますが、実は当時彼自身、当たっても並くらいにしか思っていなかったともいわれます。が、エレクトラらとの争奪戦に、“ギャラの言い値が安かったのに”勝ったのはひとえに彼のもつ“熱っぽさ”のおかげだったそう。ちなみにその契約書は、もしも彼がアリスタを離れたらホイットニーもフリーになる“キー・マン条項付”だったとか。レコード・メイカーのトップにとっては最高級の誉れ。正に、レコード・ビジネス界の鍵を握る、“キー・マン”にふさわしいエピソードといえるでしょう。
しかし、そんなふうに、彼がいちから育てたともいえるレコード・レーベルを、2000年、かつてコロンビアでそうされたように、またしても追われるはめになったのです。
<つづく>
