極私的iPod2010ベスト13楽曲評<slice>
3 The Times, They Are A’ Changin’
Herbie Hancock Featuring The Chieftains, Toumani Diabaté & Lisa Hannigan
5 Don’t Give Up Herbie Hancock Featuring P!nk & John Legend
1940年4月12日、シカゴ生まれのハービー・ハンコック。齢70歳、ジャズ=フュージョン界有数のピアニストとして知られる彼が、地球環境責任、世界的平和をそのコンセプトとして、世界中のアーティストらとのコラボレイションを基に企画化、2010年にリリースされたアルバムが、『イマジン・プロジェクト』なるものでした。”Imagine”はもちろんジョン・レノンの曲ですね。実は、初めがっかりしました。私、あまり好きじゃないんですよね、『イマジン』。オリジナルはもとより、カヴァー・ヴァージョンとなればなおさら……。ところがいざ聴いてみたら、初めてすんなりいいなと思えたのです。共演陣は、ピンク、シール、インディア・アリー、ジェフ・ベック、コノノNo.1、ウームー・サンガレら、くせものばかり。ゆえに一風変わったタッチに感じられるのかも…..違うかな? ともあれそのへんからしてもう本作品のもつスピリチュアルなパワーが表われているってことなのでしょう。
好きじゃない曲ですらそうなのですから、本作品全体が魅力的な曲ぞろい。くっきりとしたキーボードの美しいしらべ……エレガントに決まったアレンジメント……どれもみな冴えわたっています。そんなわけで本作品からは2曲がV13にエントリー。とはいえそれはグラミー賞に輝くタイトル曲『イマジン』でもなければ、同時受賞曲『チェンジ・イズ・ゴナ・カム』でもありません。
まずは、ボブ・ディランを語る上で不可欠な曲”The Times, They Are A’ Changin’”を、アイルランドの重鎮伝統音楽バンド、チーフテンズ、マリのユニークなコラ・プレイヤー、トゥマニ・ジャバティ、そしてアイルランドの尖鋭美人女性シンガー・ソングライター、リサ・ハニガンが紡ぐというもの。ハンコックのピアノを核にかたちづくられるファンタスティックな音世界に、リサのクールにおさえたハスキー・ヴォイスがゆらめきます。ぞくっとするほど、スリリング!
そしてもう1曲、そもそもはピーター・ガブリエル&ケイト・ブッシュの’86年のデュエット・ヒットで、後にチャリティ・コンサートのレパートリーとしてもおなじみになった”Don’t Give Up”を、ちょいトンガッタ米異端派女性ポップ・ロック系シンガー・ソングライター、ピンクと、ちょい若年寄な米正統派男性R&B系シンガー・ソンクグライター、ジョン・レジェンドがデュエットするというもの。共に歳は30代の初め、と似ていますが、若干異種格闘技っぽい感じもあったりします。それゆえしっくりと似つかわしかったオリジナルに比べ、外しちゃったかなと思いきや、まさかまさかのベスト・マッチ。お互い心にともした”愛”の炎が一つになるような、せつせつとしたバラードになっています。きゅんとするほど、エモーショナル!
ちなみにこのピンク、2010年、オリジナル曲で最も聴いたのはちょっと古い”Glitter In The Air”だったりします。やはりあのグラミー受賞式のパフォーマンスは衝撃的でしたから。
