もしもあのサクソフォンのイントロダクションがなかったら、心のかたすみにも留めなかったかもしれない……。
そんな曲、誰でもいくつかは想い当たりますよね。
歌ものなのにインストゥルメンタルリフ1発でヒットしてしまったような……。
ラファエル・レイヴンズクロフトといわれて、即、想い浮かべられる人は少ないでしょう。ただし、ジェリー・ラファーティーの”Baker Street”のサクソフォンといわれたら、すぐにわかる人も結構多いんじゃないでしょうか。
英スコットランド系のサクソフォニスト。1979年、彼個人のアルバム”Her Father Didn’t Like Me, Anyway”をリリースしてもいますが、ピンク・フロイドの”The Final Cut”を始め、マーヴィン・ゲイ、ABBA、アメリカ、マイク・オールドフィールド、キム・カーンズ、ロバート・ブラント、ブランドX、クリス・レア、ボニー・タイラー、ダフト・パンク等の陰で彼の”音”とふれていた人がほとんどかと想います。
そして、”Baker Street”でのそれでも。
英ロンドン・ウェストミンスターの街の通り、シャーロック・ホームズもゆかりの地をモティーフとした曲。1978年、スコットランドのポップ・ロック系シンガーソングライター、ジェリー・ラファーティーの出世作としてビッグ・ヒット、英国内でトップ3へのし上がったほか、米ランキングで6週間最高第2位を守るなど、世界的なベストセラーとなりました。
しかし、もしもそのイントロダクションからぐっと胸をとらえる、哀しくも熱いサクソフォンリフがなかったら、これほどまでに人の心を惹くものにはならなかったでしょう。
R.I.P. Raphael Ravenscroft (1954.6.4 – 2014.10.19)