頭の中を覗かなくとも、いつしかふと心に蘇る曲……ポール・リヴィアー・アンド・ザ・レイダーズ・フィーチャリング・マーク・リンゼイの1968年のヒット”Don’t Take It So Hard”は、正しくそんな曲の一つです。とくに何か深い想い出と結びついている事も無し。スマッシュ・ヒットはしましたけれど、バンドのベスト・レパートリーというわけでも無く。しかし、なぜか私の心に棲みついてしまい。今も時々何の前ぶれも無く心の中で流れます。十八番の”Kicks”よりも、そして唯一米国内でNo.1となり、ミリオンセラー・ヒットを果たした”Indian Reservation (The Lament Of The Cherokee Reservation Indian)”よりも、ずっと。
惹かれたのは、中学生の頃でした。はじめてその存在を鮮烈に意識したといえるのは、ザ・モンキーズのヒット曲”(I’m Not Your) Steppin’ Stone”のオリジナル・アクトとして、だったかもしれません。けれど、”Don’t Take It So Hard”1発で、バンドそのもののトリコになりました。以来私は、ファンとしてそのニューシングルをたてつづけに買い漁る様に。”Cinderella Sunshine”、”Mr. Sun, Mr. Moon”、”Let Me”、”We Gotta All Get Together”、”Just Seventeen”……どれもなつかしく想い浮かべられます。
1958年、レストランをいくつも営むオルガニストのポール・リヴィアーが、シンガーソングライターのマーク・リンゼイと共につくった、ザ・レイダーズ。そもそもはアイダホ・ボイシーのインストゥルメンタル・ロック・バンド、ザ・ダウンビーツがその出発点でした。1961年のインストゥルメンタル曲”Like, Long Hair”がヒットし、ブレイクアウトするも、波は未だ来ず。1965年、”Steppin’ Out”が当たった後、”Just Like Me”、”Kicks”、”Hungry”とビッグ・ヒットを次々生み、スターダムへのし上がっています。
まずはファンキーなロックンロール、ついでビート系のブルーズロック、そしてクールなポップ・ロックへ…と、いくぶんそのサウンド・スタイルは変わりますが、笑い乍らツッパシルとでもいうか、エネルギッシュ且つ快く弾むパワーはゆるがず。
独立戦争当時のミリタリー・ルックを纏い、TVでスラップスティック・コメディーを演じたりしたので、ヴァラエティー系とみられもしましたが、音楽面は結構尖んがっていました。パンクのルーツをなすガレージロックといわれるのもむべなるかな。
カラッと潔く、トビッキリ楽しくて、ゲンキの素をもたらしてくれる、そんなミュージシャンでした。
R.I.P. Paul Revere Dick (1938.1.7 Harvard, Nebraska – 2014.10.4 Caldwell, Idaho)
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