The 56th Grammy Awards -4-
Rは”リズム”のR、&は”にのっかる”の&、Bは”ブルーーーズ”のB。というわけで、リズムアンドブルーズの巻。
<R&B部門賞>
Best R&B Performance (ベスト”R&B”パフォーマンス賞) :
Something | Snarky Puppy with Lalah Hathaway (スナーキー・パピー・ウィズ・レイラ・ハサウェイ)
ニューヨーク・ブルックリンをベースとするフュージョン・バンド、スナーキー・パピーが、ダニー・ハサウェイの娘として知られるヴェテラン・ジャズ・ソウル・ヴォーカリスト”First Daughter Of Soul”レイラ・ハサウェイを迎えてつくった”Something”が獲っています。ダイナミックなファンキー・ジャズ・ロックにしなやかな歌がのっかった、自由、絶妙な大作。重賞に見合う佳曲ですね。グラミー賞シンガー、トニー・ブラクストンの妹テイマー・ブラクストンのウェルカムバック作”Love And War”、グラミー賞シンガーソングライター、アンソニー・ハミルトンの”Best Of Me”、オーストラリア・メルボルン発フューチャー・ソウル・バンドとヴェテラン・ニューヨーカー・ラッパーのコラボレーション、ハイエイタス・カイヨーテ・フィーチャリング・Qティップの”Nakamarra”、そしてネオソウル系シンガーとラッパー、コラボレーションにヒッパリダコの売れッ子同士豪華なデュエットとなる、ミゲル・フィーチャリング・ケンドリック・ラマーの”How Many Drinks?”などを凌ぐVとなりました。
Best R&B Album (ベスト”R&B”アルバム賞) :
Girl On Fire | Alicia Keys (アリシア・キーズ)
今、最もアブラがのっているトップ・スター、アリシアがアルバムをリリースしたらもうほかが霞んでしまうのもしかたないでしょう。ほかの候補陣は、フェイス・エヴァンスの”R&B Divas”、ジョン・レジェンドの”Love In The Future”、クリセット・ミッシェルの”Better”、そしてタイリース、ジニュワイン、タンクら’90sR&Bスター総結集のスーパーグループTGTの”Three Kings”と、新・旧そろいぶみ。出来映えそのものは甲・乙つけがたく、キメテの無い中、一際目を惹く珠玉作でした。炎の母は強し。
Best R&B Song (ベスト”R&B”楽曲賞) :
Pusher Love Girl | James Fauntleroy, Jerome Harmon, Timothy Mosley & Justin Timberlake <ソングライター> (アーティスト : ジャスティン・ティンバーレイク)
もしもそのままジャスティン・ティンバーレイクが無冠の帝王で終了したら、どうなったのでしょう? ほんとうによかった。それにしても、アンソニー・ハミルトンのアーバンソウルな”Best Of Me”、テイマー・ブラクストンの衰えないパワーを知らしめえた”Love And War”、スーパースターのコラボレーションとなる、ファンテイジア・フィーチャリング・ケリー・ローランド&ミッシー・エリオットの”Without Me”、そしてコチラもトップ・クラスのスーパースターをかついだ、PJモートン・フィーチャリング・スティーヴィー・ワンダーの”Only One”と、誰が獲ったってもんくのいいようのない中、曲は賞に似つかわしかったものの、ブルーアイドソウルで奪ってしまうという、トンビにアブラアゲな流れ。
Best Urban Contemporary Album (ベスト”アーバン・コンテンポラリー”アルバム賞) :
Unapologetic | Rihanna (リアーナ)
今、正に旬のポップR&Bシンガー、バルバドス生まれのリアーナが、最も”アーバン”なアルバムをつくったと認められるってのも、なんかほのぼのしますね。メリーランド生まれのテイマー・ブラクストンの13年ぶりの復帰再生作”Love And War”、ノースカロライナ生まれのファンテイジアの”Side Effects Of You”、Nasを始め、エイミー・ワインハウスとかの傑作群(アリシア・キーズのグラミー受賞作のタイトル曲”Girl On Fire”も!)をつくったニューヨーク生まれのプロデューサー、サラーム・レミの”One : In The Chamber”、そしてドラマのスターにしてシンガーソングライターのニューヨーカー、”トリスタン”マック・ワイルズの”New York : A Love Story “をくだしています。
Best Traditional R&B Performance (ベスト”トラディショナル・R&B”パフォーマンス賞) :
Please Come Home | Gary Clark Jr. (ゲイリー・クラーク・ジュニア)
正真正銘正統R&Bパフォーマンスのバトルゆえに、穏やかなるも火花飛び散る闘いとなりました。それを制したのはとにかくかの授賞式のパフォーマンス後人気急上昇のアーバン・ブルーズ・ロッカー、29歳のゲイリー・クラーク・ジュニア。ソウルのスピリットがじんじん感じられます。ほっこりするファルセット・ヴォーカルがいい! 合い間のブルージーでアグレッシヴなギターもたまりません。ほんとうにシビレまくる1曲ですね。’60sファンキー・ダイナマイトふうな”Get It Right”を唱う29歳ファンテイジア、曲はいいのですが、どのへんがトラディショナルなのかがわからない(1980年前後をそういうならまァそうですけれど……えッ、つまりそうなのか!?)アーバン・ジャジーな”Quiet Fire”を唱う47歳メイザ、ゴスペルをベースとしつつもアダルトなR&Bとしてまとめた”Hey Laura”を唱う42歳グレゴリー・ポーター、正しくいにしえのソウル”Yesterday’”(オルガンを弾いているのはアル・クーパー!)を唱う33歳ライアン・ショウらいならぶライヴァルをいなしての、V。
<つづく>
