“Where Have All The Flowers Gone?”は、ロシアのミハイル・ショーロホフの書いたものから閃いてつくられたとか。しかし、それは3番まででした。時を経て、曲がなんかもう一つ盛り上がらないと鑑み、4・5番を作る人が現れます。ジョー・ヒッカーソンでした。かくて“花はどこへいった?……オンナのコがつんでしまった”“オンナのコはどこへいった?……オトコの許へ嫁いでいった”“オトコはどこへいった?……兵となり戦の場へ”“兵はどこへいった?……死んでしまって墓の中へ”“墓はどうなった?……花で覆われた”というエンドレスでつづられうる曲となったのです。オリジナルをつくった彼ピート・シーガーは、それをどう想ったか。後にこう語っています、「歌はそうやって唱いつがれていく」と。
正真正銘正統のフォークシンガーでした。“Turn! Turn! Turn!”、“If I Had A Hammer”、“We Shall Overcome”……一からつくったものも、そうでないものも、彼のレパートリーとして知られるいくつもの曲が、同じ様に唱いつがれていくでしょう。いつまでも、ずっと。
奏でられるそのバンジョーの緩やかな響が棲む世のしがらみをもみほぐしてくれました。
そしてその聲。
唱うのは、プロテスト・ソング……ですが、
優しくて、穏やかで、愛しくて。
メッセージは、強く燃え盛るたいまつの炎の如く襲ってくるにあらず。
温かくゆらめくろうそくの炎の如く点り、心をゆらしました。
いつだって。
R.I.P. Peter “Pete” Seeger (1919.5.3 – 2014.1.27)