The 56th Grammy Awards -1-
決まりましたね、第56回グラミー賞。まずはメイン4賞の候補陣のリストとその行く末をみてまいりましょう。ノミネーション発表時の稿再録プラスアルファで。
Best New Artist (ベスト新人賞) :
Macklemore & Ryan Lewis (マックルモア&ライアン・ルイス)
ヒップホップ系ラップ&DJ・デュオ
生・国・性 : マックルモア 1983.6.19 (30歳) ・米・男 | ルイス 1988.3.25 (25歳) ・米・男
デビュー・アルバム・リリース : 2012 “The Heist”
米国内出世作(最高位) : シングル “Thrift Shop” (1) | アルバム “The Heist” (2)
James Blake (ジェイムズ・ブレイク)
エレクトロニック・ポスト・ダブステップ系シンガーソングライター
生・国・性 : 1988.9.26 (25歳)・英・男
デビュー・アルバム・リリース : 2011 “James Blake”
米国内出世作(最高位) : シングル 無 | アルバム “Overgrown” (32)
Kendrick Lamar (ケンドリック・ラマー)
ヒップホップ系ラッパー(ソングライター)
生・国・性 : 1987.6.17 (26歳)・米・男
デビュー・アルバム・リリース : 2011 “Section.80”
米国内出世作(最高位) : シングル “Swimming Pools (Drank)” (17) | アルバム “Good Kid, M.A.A.D City” (2)
Kacey Musgraves (ケイシー・マスグレイヴズ)
カントリートラッド系シンガーソングライター
生・国・性 : 1988.8.21 (25歳)・米・女
デビュー・アルバム・リリース : 2002 “Movin’ On”
米国内出世作(最高位) : シングル “Merry Go ‘Round” (63) | アルバム “Same Trailer Different Park” (1<カントリーランキング>)
Ed Sheeran (エド・シーラン)
ポップ系シンガーソングライター
生・国・性 : 1991.2.17 (22歳)・英・男
デビュー・アルバム・リリース : 2011 “+”
米国内出世作(最高位) : シングル “The A Team” (16) | アルバム “+” (5)
*最高位 : Billboardのランキング
17歳のキーウィープリンセス、ニュージーランドの美少女シンガーソングライター、ロードの新人賞ならずでしたね……(そりゃそうだ、コーホにもならなかったんだから ^.^;)。
獲ったのはなんのヒネリも無く、至極当然本命のマックルモア&ライアン・ルイス。まァ、2曲がNo.1ヒットし、シングル/アルバム共々爆発的なベストセラーとなりましたから。けれど、マックルモアがデビュー13年(ルイスが7年)、それなりのキャリアを積んでいますから、今頃新人賞ってのもなァ。
ロードならういういしくてよかったのに……(しつこいですか?)
Album Of The Year (ベストアルバム賞) :
Random Access Memories | Daft Punk (ダフト・パンク)
エレクトロニック・ハウス・デュオ
生・国・性 : トーマ・バンガルテル 1975.1.3 (38歳) ・仏・男 | ギ=マニュエル・ド・オメン=クリスト 1974.2.8 (39歳)・仏・男
米国内アルバム・セールス (最高位) : 770,000コピー (1)
ヒット・カット曲(最高位) : “Get Lucky” (1) etc.
The Blessed Unrest | Sara Bareilles (サラ・バレリス)
ポップ・ロック系シンガーソングライター
生・国・性 : 1979.12.7 (34歳)・米・女
米国内アルバム・セールス (最高位) : 300,000コピー (2)
ヒット・カット曲(最高位) : “Brave” (26)
Good Kid, M.A.A.D City | Kendrick Lamar (ケンドリック・ラマー)
ヒップホップ系ラッパー(ソングライター)
生・国・性 : 1987.6.17 (26歳)・米・男
米国内アルバム・セールス (最高位) : 1,100,000コピー (2)
ヒット・カット曲(最高位) : “Swimming Pools (Drank)” (17) etc.
The Heist | Macklemore & Ryan Lewis (マックルモア&ライアン・ルイス)
ヒップホップ系ラップ&DJ・デュオ
生・国・性 : マックルモア 1983.6.19 (30歳) ・米・男 | ルイス 1988.3.25 (25歳) ・米・男
米国内アルバム・セールス (最高位) : 1,200,000コピー (2)
ヒット・カット曲(最高位) : “Can’t Hold Us”(1) | “Thrift Shop” (1) etc.
Red | Taylor Swift (テイラー・スウィフト)
ポップ・カントリー系シンガーソングライター
生・国・性 : 1989.12.13 (24歳)・米・女
米国内アルバム・セールス (最高位) : 4,000,000コピー (1)
ヒット・カット曲(最高位) : “We Are Never Ever Getting Back Together”(1) | “I Knew You Were Trouble” (2) etc.
*最高位 : Billboard 200のランキング
悔しかったでしょうね、テイラー・スウィフト。オマケに一瞬獲ったとカンチガイしたようすが映ってしまいましたし。なんてったって、実績上はもんくなし。約4,000,000コピーを売るベストセラー。前55回のベストレコード賞候補だったNo.1ヒット”We Are Never Ever Getting Back Together”を始め、”I Knew You Were Trouble”、”Begin Again”、”Red”等のトップ10ヒットも生み、曲もつぶぞろいですし。出来映えもよかったと想います。ゆえに、スウィフト・ファンの私としてはつらいところですが、奪ったのがなんとしても獲ってもらいたかったダフト・パンクだったのでよしとします。
Record Of The Year (ベストレコード賞) :
Get Lucky | Daft Punk & Pharrell Williams (ダフト・パンク&ファレル・ウイリアムズ)
エレクトロニック・ハウス
アクト : トーマ・バンガルテル 1975.1.3 (38歳) ・仏・男 | ギ=マニュエル・ド・オメン=クリスト 1974.2.8 (39歳)・仏・男
米国内シングル・セールス (最高位) : 3 X Platinum (1)
Radioactive | Imagine Dragons (イマジン・ドラゴンズ)
オルタナティヴ・ロック
アクト : ダン・レイノルズ(1987.7.14生・26歳)を核として2008年結成・米・男4人編成
米国内シングル・セールス(最高位) : 6 X Platinum (3)
Royals | Lorde (ロード)
アート・ポップ
アクト : 1996.11.7 (17歳) ・ニュージーランド・女
米国内シングル・セールス (最高位) : 1 X Platinum (1)
Locked Out Of Heaven | Bruno Mars (ブルーノ・マーズ)
ポップ・ソウル
アクト : 1985.10.8 (28歳) ・米ハワイ・男
米国内シングル・セールス (最高位) : 4 X Platinum (1)
Blurred Lines | Robin Thicke Featuring T.I. & Pharrell Williams (ロビン・シック・フィーチャリング・T.I. &ファレル・ウイリアムズ)
ポップ・ソウル
アクト : 1977.3.10 (36歳) ・米・男
米国内シングル・セールス (最高位) : 6 X Platinum (1)
*最高位 : Billboard Hot100のランキング
2013年の華、ベストレコード賞ですからね。2013年といわれたらアレッてくらいのものじゃないと。けれど、ノミネーションからしてなんか変でしたよね。Billboardの”2013 Hot 100 Songs”のNo.1を”Thrift Shop”で飾り、トップ5にもう1曲”Can’t Hold Us”がランクするというくらい、年間通じシングル・チャートの常連株だったマックルモア&ライアン・ルイスがノーエントリーっていったい……? ジャスティン・ティンバーレイクの3,000,000ヒット”Mirros”が外れているのも、”Album Of The Year”の”The 20/20 Experience”のノーエントリー同様不思議。エントリーを果たしたブルーノ・マーズも、”When I Was Your Man”が何故候補曲じゃないのか? ”Locked……”よりずっといい曲。ピアノのみの伴奏曲のビッグ・ヒットという、記録上とてつもなく稀な珠玉作なのに。やはりみんなして”ウーッ”っていいたかったのかと(テイラー・スウィフトが昨年同じ授賞式で彼のパフォーマンス中、いっしょにそうしていましたっけ)。シングル・セールス等のデータも殆ど同じだし、Billboardなんかコチラが上だったりするんですけれど。
そんなわけで、ライヴァル総くずれですから、最も似つかわしいのは、”Blurred Lines”。品はありませんけれどね(^.^; しかし、ふつうなら私も1票いれますが、いれません。というのも……
ダフト・パンクがいるから!
ってか、ナイル・ロジャーズ! プロデュースを始め、パフォーマンス、そして作編曲で前世紀、星の数程煌くヒットをつくった彼が、長年御無沙汰をしていたスポットライトの下へ突然嵐の如くカムバックを果たしたわけですから(クレジット上は陰に隠れていますが)。ゆずれません。
それにしても、候補曲がダブルというヒットメイカーぶりをみせた、ファレル・ウイリアムズ。正に旬、2013年のエースといえるでしょう。
んでもって、賞の行く末も私の望みどおりとなりました。
ロックの寂れようとか鑑みると、イマジン・ドラゴンズへいれるのも一瞬検討致しましたが、まァね。
新人賞じゃないので、コチラでロードの目は全く無し、と、はなっから想っていましたし。
Song Of The Year (楽曲賞) :
Royals | Joel Little & Ella Yelich O’Connor <ソングライター> (アクト : ロード)
アート・ポップ
米国内シングル・セールス (最高位) : 1 X Platinum (1)
テーマ : 華やかな暮らしなんかいらない、フツーの暮らしが何よりも貴い
Just Give Me A Reason | Jeff Bhasker, Pink & Nate Ruess <ソングライター> (アクト : ピンク・フィーチャリング・ネイト・ルイス)
ポップ・スローバラッド
米国内シングル・セールス (最高位) : 4 X Platinum (1)
テーマ : ほんの1言そえるだけ……それで愛も蘇る
Locked Out Of Heaven | Philip Lawrence, Ari Levine & Bruno Mars <ソングライター> (アクト : ブルーノ・マーズ)
ポップ・ソウル
米国内シングル・セールス (最高位) : 4 X Platinum (1)
テーマ : ラヴアフェアど真ん中、止めどなくほとばしるエロス
Roar | Lukasz Gottwald, Max Martin, Bonnie McKee, Katy Perry & Henry Walter <ソングライター> (アクト : ケイティー・ペリー)
パワー・ポップ
米国内シングル・セールス (最高位) : 4 X Platinum (1)
テーマ : コワイものなどもう何もない、闘え! 勇ましく
Same Love | Ben Haggerty, Mary Lambert & Ryan Lewis <ソングライター> (アーティスト : マックルモア&ライアン・ルイス・フィーチャリング・メアリー・ランバート)
ヒップホップ
米国内シングル・セールス (最高位) : 2 X Platinum (11)
テーマ : 同性愛も同じ愛……人はみなそれぞれ、優しくなろうよ
*最高位 : Billboard Hot100のランキング
メイン4賞のしんがりは、ベスト楽曲賞。2013年の曲は何か? ですからね。御時世を映し出す様な曲が似つかわしい。
“Just Give Me A Reason”はそのへんからすると弱かったかもしれません。普遍的なテーマともいえますから。曲も、大変美しいけれども、フツーのエモーショナルなスローバラッドともいえますし。でもね、ピンクとファン.のネイトのデュエットは、妙に”今”を感じられるんですよ。フツーの詞、フツーの曲、フツーの歌……の筈が、このふたりだとまったくマトモ……否、フツーじゃなくなるってのがみそ。新世紀のラヴバラッド・デュエットとして、賞は獲らなくとも、永く心に刻まれるでしょう。
くりかえしますが、ブルーノ・マーズはどうしてまた”When I Was Your Man”じゃなかったんでしょうか? ほんとうに”ウーッ”っていいたいからとしか想えないんですけれども。まァ、2013年はエロティックな曲(またはパフォーマンス)がハヤッた年でしたから。そんな1曲として上がったといえなくもないですが。”Blurred Lines”じゃあんまりなので外し(楽曲賞の”品”を守り?)。
で、2013年の曲として残したい……ならなんといっても、”Royals”でしょうね。ほんとうなら最もいろいろな欲にまみれそうな16歳のオンナのコ(それも遠くキーウィーの国の)が真理的な無欲人生論を曲としてつくり、自らしれっと唱ったという点が、センセイションそのものでしたから。
といっても、センセイションという点からみたら、”Same Love”もいい線いっているのは確か。ヒップホップで同性愛をポジティヴにつづった事そのものが大事件ですし。テーマが御時世にそうものですから。
けれど、やはりロードでした。
