古今東西世の中でバンドくらいわがままな自由人の集まりもないでしょう。当然諍いなんかも日常茶飯事のレベルでくりかえします。で、それが高じると、離れ離れとなるわけで。もはや再び逢う事もないとか言ったりもして。しかしいったんトップ・スターへのし上がったバンドで、リユニオンのないケースもまた、稀。
1983年生誕、1996年までの13年、オリジナルアルバムは2作しかつくられなかったものの、マッドチェスター・ムーヴメントのリードオフマンとして、スーパースターダムへ。後の英音楽シーンへとつながるスピリットを残すザ・ストーン・ローゼズも、リユニオンを熱く望まれるバンドでした。
そんなバンドが、2011年中秋、再結成発表。そして、それを出発点とするドキュメンタリー・ムーヴィー“The Stone Roses : Made Of Stone”(2013年・英)のプロジェクトも共々始まったのです。翌’12年初夏地元マンチェスターのコンサートへとつらなる、密着記録映画。衰えないそのインタープレイの凄みにとらわれるリハーサル・セッション、突然行われるあたかもファン・ミーティングの様なファースト・ライヴ、バンドのパワーを再認識しうるワールドツアーの‘流れ’は、エクサイティングなムードを醸し出すかたわら、御約束(?)の障害等も少々含むスリリングなものとなりました。サイケデリックな音の交わりが狂おしい、彼ら1流のオルタナティヴ・ポップ・ロックをそのまま映し出すかの如く。
それにしても、自由人の集いそのもののロック・バンド……シゴトとはいえその暮らしをとらえるのはたやすくありません。ありのままをありのままに映し、とりまとめられるのは、バンドを良く知る人でなければ難しいでしょう。本作品がリアリティーを生じえているのは、メガフォンをとったのが、自ら熱狂的ファンと言ってはばからないシェイン・メドウズだったがゆえ。正真正銘演出なしの‘愛’が感じられます。
