ブルー・オイスター・カルト……ニューヨーク・ロングアイランドをベースとする、サイケデリックなプログレッシヴ・ハード・ロック・バンドがその姿を現わしたのは、1967年の事。当時未だソフト・ホワイト・アンダーベリーと名のっていましたが(’71年上記BOCが正式名となる)。バック・ダーマらからなる同バンドを共につくった1人が、キーボード・プレイヤー(そしてギタリスト)のアレン・ラニアーでした。
’72年、アルバム”Blue Öyster Cult”でデビュー。そして’76年、4thアルバム”Agents of Fortune”の1曲”(Don’t Fear) The Reaper”がビッグ・ヒットし、ブレイクアウトを果たしました。ミリオンセラーとなったそのアルバム中、”True Confessions”と”Tenderloin”の2曲は彼の作。”True…”はヴォーカルもとっています。ほかに、”Searchin’ For Celine”、”In Thee”、”Lonely Teardrops”などが、BOCのレパートリー中、彼のつくった曲。ヴォーカルはとりませんでしたが、バンドのキャラクターと少々異なった、カントリー・フィーリングの香り立つ爽やかなソフト・ロック”In Thee”は、Billboard HOT100にエントリーもしています。
しかし、BOCのみに彼の名は止まりません。アート・パンク・ロックのエース、パティ・スミスと一時愛し合い、’75年のデビュー・アルバム”Horses”の美しも妖しくゆらめく珠玉作”Elegie”等コラボレーションとして残したものも。’76年の”Radio Ethiopia”、そして’78年の”Easter”へとそれは続く事になりました、”別れ”の時が来るまで。
尚、ジム・キャロルらともコラボレーション。ザ・クラッシュの’78年の”Give ‘Em Enough Rope”の”Julie’s Been Working For The Drug Squad”でピアノを弾いたりもしています(クレジットは無し)。
とくにめだつ人じゃなかった、かもしれません。「語り口同様、穏やかな人だった」とスミスも言っています。けれど、もしも彼がいなかったら、何かしっくりいかないと想わせる、そんな人でした。優しくて、頼もしい……なくてはならない人。「でもいつも前に進む力をもらった」とスミスが言う様に。
Allen Lanier (1946.6.25 – 2013.8.14)