Moonwalk

Moonwalk C

HAWHOKKKEKYO 真説大衆音楽“洋”語辞典

moonwalk -C-

むろん、昔かられんめんと培われたものだからといって、新鮮味が無い筈も無し。アートなんてすべてそういうものですし。っていうか、少しずつ新たなる‘何か’をとりいれつつくりかえし、次の世へ継いでいくものだとすらいえます。ゆえに、マイケル・ジャクソンの“ムーンウォーク”も、むしろそれを彼一流のものにしえたのが凄いのですが。

ならば、彼はそのアイディアをどのへんからとりいれたのでしょうか?

ツマサキダチの外、エレガントな流れそのものはフレッド・アステアのそれがまず上げられるでしょう。デイヴィッド・ボウイの1974年の“Diamond Dogs”ツアー(コレオグラファー : トニー・ベイジル)も、ロスアンジェルスでそのマイムを基にしたステイジングを観て、心を惹かれたそうです。ボウイがマイムを学んだのはかのエティエンヌ・ドゥクルー、そしてその教え子マルセル・マルソーと同じ‘流れ’をくむリンゼイ・ケンプ。マイムふうなポージングはそのへんからですね。スピンのみならずスタイリッシュなポーズをもつジェイムズ・ブラウンふうなパフォーマンスは幼い頃からの得意技でしたから、それがうまく交わっています。

しかし、なんといっても彼がその頃注目していたのが、ジェフリー・ダニエルでした。ダンスをベースとした黒人系音楽TVショウ“Soul Train”ダンサーズの1人として頭角現し、ジョディ・ワトリー等とシャラマーを組んだりもしたポッパー系ダンサー/シンガー・ソングライター。やがて、ダンス・チームのザ・ロッカーズが編み出したといわれる“バックスライド”を表舞台で知らしめ、幻の‘ムーンウォーカー’ともなるその人ですね。幻の‘ムーンウォーカー’……という意味深な言い回しについてのココロは、ヴィデオクリップを観ればわかります。

Jeffrey Daniel (Shalamar) | A Night To Remember : TOP OF THE POPS 1982

決まっていますね、実にキレイな“ムーンウォーク”が。とはいえまァ、フツーにバックスライドを演っていただけなのですが。そんなジェフリーが“Soul Train”ダンサーズだった頃に知り、ファンだった彼は、後にダンスを教えてもらう事にもなります。ポッピング、ロッキング、ロボティクス、ワッキング、ジャズ、ハウス、ヒップホップ等多彩なストリート系ダンスの交わったそれは、刺激的なものでした。けれど、ムーンウォークとなるダンスはまだ生まれず。

<つづく>

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