Eternal Songs Kaleidoscope 佳曲萬華鏡
Careful 14 : Variations On A Theme By Erik Satie / Blood, Sweat & Tears -1-
ホーンが勢い良く嘶く、まるでジャズのビッグ・バンドふうな大所帯。そのへんから、ブラス・ロック(ジャズ・ロック)のエースなんて言われた、ブラッド・スウェット&ティアーズ。1967年、かつてかのボブ・ディランがフォーク・ロックの光を見た正にその時バックをつとめた異端児キーボード・プレイヤー、アル・クーパーの下、8人編成のバンドとして生まれています。アルとそれまでザ・ブルース・プロジェクトというブルーズ・ロック・バンドを共にしていたギタリストのスティーヴ・カッツを始め、後にフュージョン系スター・トランぺッターの1人となるランディー・ブレッカー等、つわものがそろう本格的プロジェクトでした。しかし、つわものぞろいだった事がかえって災いしたといえるでしょうか。スティーヴら仲間内からもそのヴォーカルの弱みをつかれ、なんと音楽的な要だったアルが、1968年、グラミー賞候補にもなったデビュー・アルバム“Child Is Father To The Man”リリース後、決まっていたツアーを経て辞めてしまいます。私が彼にインタヴューをした際も、「俺はアソコに15分しかいなかったから」とほんとうに嫌そうにしたくらい、揉め事はいまいましいものだったようです。
とまれそれから残るグループのメンバー(ランディー等も離れてしまう)は、パワーフルな英国生まれのカナダ人シンガー・ソングライター、デイヴィッド・クレイトン・トーマスを迎え、シカゴのレコーディングも叶えてくれるならと携わったジェイムズ・ウィリアム・グェルシオのプロデュースの下、9人編成で再出発。1968年の終わりにつくられた2ndアルバム“Blood, Sweat & Tears”が、3曲のビッグ・ヒットを生み、マルチ・ミリオンセラーに。前回叶わなかったグラミー賞獲得、それもアルバム・オブ・ザ・イヤーに輝いたのです。
“Variations On A Theme By Erik Satie” (1st and 2nd Movements)はそのトップに収められていた曲(“1st Movements”のみがエンディングに再収録)。なんと美しいしらべでしょう。ゆったりと穏やかにたゆたう音の流れはとても優しくて、荒む心も鎮めてくれます。それと共に、いつまでたっても終わらず、あてどなく迷う様も感じられ、ただならぬムードを醸し出してもいるという。正しくただものじゃない出来映えとなった“Blood, Sweat & Tears”のプレリュード(&フィナーレ)として似つかわしいものでした。そしてその素となったのが、未だそれほど知られていなかった異能仏国人コンポーザー、エリック・サティのマスターピース”Trois Gymnopédies”だったのです。
<つづく>
