Eternal Songs Kaleidoscope 佳曲萬華鏡
Careful 13 : A Lover’s Concerto / Sarah Vaughan
1961年、ニューヨーク・ジャマイカ生まれのポップ・ソウル系ガールグループ、ザ・トーイズのビッグ・ヒットとして知られる“A Lover’s Concerto”。曲をつくったのは、正にヒットメイカーのサンディー・リンザーとデニー・ランデルでした。そしてそのメロディーのベースとしたのが、“Minuet in G major (BWV Anh. 114) ”だったのです。
ヨハン・ゼバスティアン・バッハが二人目の妻アンナ・マグダレーナへ贈ったという音楽帳(小品集)の中の1曲ですね。昔はそのままバッハがつくったものと、私も思っていましたが、音楽帳の中で彼の作と認められるものは案外少ないらしく、フランソワ・クープラン、カール・フィーリプ・エマーヌエル・バッハ、ゴットフリート・ハインリヒ・シュテルツェルらいろいろな人の曲が含まれているとか。本作品も凄く良く知られるメヌエットですが、今やクリスティアン・ペツォルトの作と認められています。
というわけで、それを基にした“A Lover’s Concerto”、ザ・トーイズのオリジナル・ヴァージョンは、1965年、シングルとしてリリース。米ランキングで最高第2位となるミリオンセラー・ヒットを果たしました。‘モータウン’ポップふうなアレンジメントが、オンナのコらしく爽やかなコーラスワークと相まって快い味を醸し出しています。
ベースとしたのがクラシックゆえに、メロディー・ラインがとっても親しみやすく、以後多種多彩なアーティストが唱う事に。ザ・スプリームス、シラ・ブラック、ザ・デルフォニックス、カーラ・トーマス、ミセス・ミラー、そして我が国のザ・ピーナッツ……等枚挙に暇がありません。
しかしもう1人、オリジナルと並ぶアーティストをピックアップするとしたら、サラ・ヴォーンをおいてほかにはいないでしょう。まるでサクソフォーンの如く唱うといわれる、ニュージャージー生まれの(1924.3.27 – 1990.4.3)アメリカン・ジャズ・レジェンド。そんなサラがサラッと……もとい、たんたんとつづった愛の協奏曲は、1966年、最高第63位ながら、ランキングにエントリーしています。たおやかな聲がその美しいしらべにマッチ。えもいわれぬかぐわしい薫りをたゆたわせています。
<つづく>
