The GRAMMY 2013

The GRAMMY 2013 B

The GRAMMY 2013
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闇の中、観客席ど真ん中の張り出し舞台上で青い光が当たったのが、なんか近頃長老然とした風格漂うエルトン・ジョン、そしてニューカマーのエド・シーランでした。2010年、モンスター・レディー・ガガと今も語り継がれるホラー&ホットなビアノ&ヴォーカル・コラボレイションを果たしてわかせた大長老が、それぞれの奏すピアノ、ギターのしらべと共に、たんたんと21歳の英新鋭シンガー・ソングライターの出世作“The A Team”をデュエット。英国人同士、跡を継ぐ孫へ‘何か’を託すかのような(と見せかけるものの、まだまだみたいな(^.^;)温かなものをほんのり感じさせられました。いいのやらわるいのやら。わるくもなかったですが、やはり独りがしっくり来ますね、曲そのものは。

そういえばそんな独り語りをするのが似つかわしい、大長老43年程前のレパートリー“Your Song”。唱われましたね、ラテン系の部門賞獲得、コロンビアのラテン・ロックの貴公子フアネスに。ライヴでブラジャーが飛ぶ貴公子も40歳。スパニッシュな詞を交えていましたが、全く違和感もなくそのココロが伝わりました。正に真底世界的ポップ・クラシックとなったのが窺い知れるようなパフォーマンスだったといえるでしょう。ヒネリがないため、次の日までは覚えていられませんでしたが。

ポップ・クラシックといったらそう、今年早々亡くなられたパティ・ペイジのベスト・レパートリーとして知られる“Tennessee Waltz”も唱われました。パフォーマーは、部門賞1箇獲得のケリー・クラークソン。なんてったって、‘アメリカン・アイドル’のウイナーですからね。そつがありません。フツーにうまかったとは想います。でもなんか、ものたりないっていうか……。それはともあれ、すぐに次の曲、キャロル・キングの“(You Make Me Feel Like) A Natural Woman”を唱ったのには少し違和感が。や、唱はとりあえず前の曲よりはよかったと想います。ほんの少しですけれども。じゃなくて、両人共、唱われている際、独りずつバック・スクリーンにどーんとそのフォト・コレクションが飾られるのですが、それが演出的にどうなのって話で。まるでいっしょに最近亡くなられた人みたいにみえるじゃないですか。共に今回生涯功労賞をもらったアーティスト。かたやトリビュートで、かたやオマージュなんだそうですが、シームレスで唱わなかったほうがよかったかと。

尚、亡くなられた人を偲ぶスライドショウの後のスペシャル・トリビュート・セッションは、大長老が再登場。映像部門賞獲得、プロデューサー/ミュージシャンの誉T・ボーン・バーネットを始め、カントリー部門賞獲得のザック・ブラウン、新人賞候補だったアラバマ・シェイクスのブリタニー・ハワード、‘アルバム・オブ・ザ・イヤー’とヴィデオ部門賞獲得のマムフォード&サンズ、そして齢73歳……65歳の大長老の上を行くソウル界の大重鎮、ステイプル・シンガーズのメイヴィス・ステイプルズがジョイント、リヴォン・ヘルムを偲び、ザ・バンドの“The Weight”を大合唱するというものでした。まァね、ソウル、カントリー、ロック、フォーク、ブルーズ、ゴスペル、ルーツ・ミュージック的な流れまでとらえるアーティストが集い、唱う曲がそれならもう言う事は無し。しかし、残念乍ら‘締め’を外してしまいました、大重鎮が。しわがれた聲で粘っていたのはいいのですが(心地良いものではなかったにせよ)、皆ですうーっと消えゆくはずが、独り取り残されてしまったと。それでもまだしっかり締めればかえって大喝采だったのですが(もともとそうなっていたのかも)、そうはいかず。昔は難なくうまくとりまとめられたものも、なんかタイミングが狂ってしまい。もうわかったからって、観客皆がスタンディング・オヴェイションしていましたね。ただしそのムードはとっても温かくて、それが救い。ほほえましいと想えないのは、私の心が優しくないからですか? そうですか。とはいえまァ、トリビュートらしく快いパフォーマンスだったとは想います。老若男女皆で唱えるのがいいですね。人類皆兄弟姉妹ふうで。それにしても、次々唱うリレーを観ていたらあしたまで続くんじゃないかと想ってしまいました。あれってほんとうにいつまでも唱い続けられますよね。どうせなら、ホールにマイクを回したらよかったのに。凄いミュージシャンがそろっているし。ギネスにものったでしょう。

<つづく>

想い出に残る(うそだろーも含む)部門賞ウイナーズ : 其の二

BEST NEW AGE ALBUM
Echoes Of Love | Omar Akram

BEST IMPROVISED JAZZ SOLO
Hot House | Gary Burton & Chick Corea
Track from : Hot House

BEST JAZZ VOCAL ALBUM
Radio Music Society | Esperanza Spalding

BEST JAZZ INSTRUMENTAL ALBUM
Unity Band | Pat Metheny Unity Band

BEST LARGE JAZZ ENSEMBLE ALBUM
Dear Diz (Every Day I Think Of You) | Arturo Sandoval

BEST LATIN JAZZ ALBUM
¡Ritmo! | The Clare Fischer Latin Jazz Big Band

BEST GOSPEL/CONTEMPORARY CHRISTIAN MUSIC PERFORMANCE
10,000 Reasons (Bless The Lord) | Matt Redman
Track from : 10,000 Reasons

BEST GOSPEL SONG
Go Get It (Mary Mary)
Songwriters : Erica Campbell, Tina Campbell & Warryn Campbell

BEST GOSPEL ALBUM
Gravity | Lecrae

BEST CONTEMPORARY CHRISTIAN MUSIC ALBUM
Eye On It | TobyMac

BEST LATIN POP ALBUM
MTV Unplugged Deluxe Edition | Juanes

BEST LATIN ROCK, URBAN OR ALTERNATIVE ALBUM
Imaginaries | Quetzal

BEST REGIONAL MEXICAN MUSIC ALBUM (INCLUDING TEJANO)
Pecados Y Milagros | Lila Downs

BEST TROPICAL LATIN ALBUM
Retro | Marlow Rosado Y La Riqueña

BEST AMERICANA ALBUM
Slipstream | Bonnie Raitt

BEST BLUEGRASS ALBUM
Nobody Knows You | Steep Canyon Rangers

BEST BLUES ALBUM
Locked Down | Dr. John

BEST FOLK ALBUM
The Goat Rodeo Sessions | Yo-Yo Ma, Stuart Duncan, Edgar Meyer & Chris Thile

BEST REGIONAL ROOTS MUSIC ALBUM
The Band Courtbouillon | Wayne Toups, Steve Riley & Wilson Savoy

BEST REGGAE ALBUM
Rebirth | Jimmy Cliff

BEST WORLD MUSIC ALBUM
The Living Room Sessions Part 1 | Ravi Shankar

チェリストの世界的スーパースター、ヨー・ヨー・マが、スチュアート・ダンカン、エドガー・メイヤー、クリス・シーリーら、弦楽器を司るトラディショナルな米ミュージシャンと共につくった異色共演作(変態性は無い)“The Goat Rodeo Sessions”は、V13エントリー作。ほんとうに快いクロスオーヴァー・セッションが決まっていました。まるで、4人4様それぞれの弦が語り合っているかのよう。何かしら楽しそうでもあり、温もりのある美しきしらべに酔わせられます。V13としてはもう一昨年のものなので、私もすっかり忘れていましたが(^.^;)

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