Let’s Enjoy The Grammy Awards 2013

Let's Enjoy The Grammy Awards 2013

迫ってまいりましたね、グラミー賞。私が貰う賞じゃないのに、いつも授賞式が近づくとそわそわしていたものです。

で、まずはそれって何? というわけで、一昨年の当ジャーナル‘HAWHOKKKEKYO’でまとめたものに新情報を交え再掲載いたします。

HAWHOKKKEKYO : Grammy Awards

今や星の数ほどもある音楽賞ですが、やっぱ一味違いますよね、グラミー賞は。重みというか、格が。しかしその知名度のわりには、案外、実体や仕組みとかわかっていなかったりします。グラミー賞獲得するともらえるのは、古い蓄音器をかたどったトロフィーなんですが、それがいつしか賞そのものを指すようになってしまったということらしい、とかね。蓄音器は、グラモフォーンだから、 Gramophone→Grammyというわけ。つまり、アカデミー賞の“オスカー”同様、通称、愛称のたぐいということになります。そもそもは、NARASのアチーヴメント・アウォーズと称されて始まったものでした。NARASは、National Academy of Recording Arts & Sciences(米国内のレコーディング芸術科学学会という意)を略したもので、創られたのは、1957年。ほらっ、ハリウッド・ブールヴァードに、スターの名が刻まれた☆が埋まっている散歩道がありますよね。“ウォーク・オブ・フェイム”とかいうもの。あれが創られた時、映画界のみならず音楽界からもその道を飾る人を選ぶ事になり、生まれたものだそう。それをきっかけとして、アーティストだけでなく、音楽業界人のすべてに何か賞を与えようという流れになったしだいです。

全世界の業界人垂涎の音楽賞“グラミー・アウォーズ”の栄えある第1回は、1959年5月4日、ロスアンゼルスのビヴァリー・ヒルトン・ホテル内のグランド・ボールルームで、関係者およそ500人が集められ、行われたそうです。

主な受賞者は、1958年の夏、ミリオンセラーとなるNo.1ヒットを果たした“Volare (Nel Blu Dipinto Di Blu)”のドメニコ・モドゥーニョを始め、米人気TVドラマ“Peter Gunn”の劇中歌アルバムがビッグ・ヒットのヘンリー・マンシーニ、まさにジャズ・シンガーとして爛熟期を迎えていたエラ・フィッツジェラルド、自らホストを務めるTVヴァラエティ・ショウが大好評だったペリー・コモら。なんといっても第1回だから、さすがにその主要賞は、当時飛びっきりのスーパースターだったフランク・シナトラで決まりかと思われましたが、予想外に、米国初ヒット、しかもイタリア人シンガーのモドゥーニョに渡ってしまっため、かえってその公正ぶりが評価される結果となりました。さすが、エエカッコシイの米音楽ギョーカイ人! (褒めています)

ちなみにその授賞式は、いまのようにショウアップもされず、地味に各賞が発表されるだけだったとか。しかし、めだつのが命な米音楽ギョーカイ人がそのままで済むはずがありません。翌年初のTVショウが行なわれ、1964年以降、NBC-TVがそのセレモニーのライヴ・ショウ“The Best On Record”を恒例化。そして1971年、ABC-TVを通じ、初の生中継TVショウ“The Grammy Awards”が始まりました(2012年以降、CBS-TVネットワークでオンエアー)。

第1回の部門賞は、わずか28箇でした。しかし、1979年の第21回に51箇、1983年の第25回に61箇、1986年の第28回に71箇、1991年の第33回に82箇とそのカテゴリーは年々増え続けます。そしてその後も増減繰り返し、1997年の第40回に92部門賞、2002年の第44回で、ついに101部門賞へ。2011年の第53回は、なんと109のカテゴリーで賞が争われました。う~む、細かいというか、なんというか……多いですよね、少し。賞をもらうのはたいがい1人じゃありませんから、蓄音器のトロフィーっていったいいくつ作られるのでしょうか? そんな事もあってか、2012年は大幅に見直し削減。部門賞は78箇とスリムになりました。2013年は81箇。

そもそもこの賞は、NARASという学会の会員の投票でそのすべてが決まるものです。“投票”会員の資格は、主としてヴォーカリスト、ミュージシャン、ソングライター、プロデューサー、エンジニアなどで、基本的に米国内で正規小売商人を通じ、6曲以上のフィジカル・トラック、またはディジタル・トラック12曲をリリース(共に内1曲は5年以内)したという実績を公式に認証しうること(allmusic.comなどで)。もしも5年以内に自らグラミー賞候補となっていたら、やはり認められるようです。grammy365.comサイトなどで必要事項記入の上、申し込み、正しいことが認められれば、初年度会費を収め、即入会となります。2013年現在、年会費は$100、2年まとめると$180、3年で$260、5年で$420。入会後、ノミネート、本投票などに加わることになります。全般的な賞となるその年最高のレコード賞(Record Of The Year)、楽曲賞(Song Of The Year)、アルバム賞(Album Of The Year)、新人賞(Best New Artist)の主要4部門は、全会員で。そのほかの賞については、29の各専門部門の内、ノミネートにおいては9専門部門未満、本投票においては8専門部門未満をそれぞれ選び、票を投じることになります。ポップ、ロック、R&Bのみならず、ラテン、ジャズ、クラシックなどいろんな業界人が加わっているため、投票会員数は結構多く、初め500人だったものが、1980年代半ばには10倍の5000人突破。2000年代半ばには1万数千人規模に達しています。2013年現在、23,635人。ヴォーカリスト3,872人、ミュージシャン4,873人、プロデューサー4,802人、エンジニア2,602人、そのほかが7,486人となっています。特に7,404人のプロデューサーとエンジニアの影響力が強いとか。スケジュールはまず、レコード学会員およびレコード会社等による、期間中(前年度10月1日~当年度9月30日)の米発売作品からの候補作提出。候補作を150人以上の各部門の専門家による審査会が、芸術的に優れているかどうかでふるいにかけます。ゆえに、いくら売れていようがだめなものはだめ。9月15日以降、ふるいにかけられたリストからの各部門ノミネート作を選びます。そして選ばれた(基本的に)各部門5作が全米各地区代表会員による再審査を経て、候補作承認。11月15日以降にそのリストを再び全会員に送り、最終本投票に移ります。ちなみにその各地区というのは、ニューヨーク、フィラデルフィア、ワシントンD.C.、アトランタ、フロリダ、シカゴ、ナッシュヴィル、メンフィス、テキサス、パシフィック・ノースウェスト、サンフランシスコ、ロスアンゼルスの12か所。結構厳しそうだけど、実はそうでもなかったりします。特に、新人賞などは、基準的にあやふやな面も多く、よくもめる火だねになりますね。

ともあれそんなわけで、本来業界人の仲間内の賞だから、フツーのファンの思いとは違う人に渡るケースもしばしば。そのへんから文句言う人もよくみかけられますが、それはちょっと筋が違う感じがします。

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