コメンタリーのパート2。
8 Read All About It | EMELI SANDÉ
12 Clown | EMELI SANDÉ
2012年、オリンピックの流れから、世界的なブライテスト・ホープともなった、1987年3月10日、英サンダーランド生まれのソウル系フィーメイル・シンガー・ソングライター、アデル・エミリー・サンディー。すでに“Daddy”を始め、“Heaven”、“River”、“Mountains”などが、2012年前半V13へエントリーしましたが、それら同様昨年初頭リリースのデビュー・アルバム“Our Version Of Events”の楽曲が後半も相次いでのっかってまいりました。“Read All About It”はそもそもプロフェッサー・グリーンのレパートリーとして共につくった共演作。英No.1となるビッグ・ヒットを果たしています。それを自らソロ・ヴァージョンとして唱ったものですが、オリンピックのクロージング・セレモニーでつづったアコースティック・ヴァージョンが、今回第8位のポジションを得る鍵となりました。両曲共、ピアノといっしょにしっとりとエモーショナルに紡がれるソウルバラッド。曲の奥に深く練り籠められている人の心の傷みがじんわり伝わってくるような歌に心をもっていかれます。
9 I’m Not The Same Without You | DONALD FAGEN
1948年1月10日、ニュージャージー生まれの伊達男、スティーリー・ダンのドナルド・フェイゲン、6年ぶりの4thスタジオ・アルバム“Sunken Condos”のリード曲。いつもながらドラマティックでスリリングでソウルフル。アダルトでアーバンでジャジーなクロスオーヴァー・ロックがクールに決まっています。“Nightfly”三部作完結を経て、新出発の第1弾。まァ、“I’m Not The Same Without You”に限っていうなら、実は殆ど変わっていません。しかしマニアック……っていうか、フリーキーなファンともいえる私からしたら、変わらないのがむしろ幸せだったりしますし。
10 Here We Are (Chancer) | SIVERSUN PICKUPS
24 Bloody Mary (Nerve Endings) | SILVERSUN PICKUPS
2002年結成、米ロスアンジェルスのオルタナティヴ・ロック・バンド、シルヴァーサン・ピックアップス。共に2012年リリースのアルバム“Neck Of The Woods”に収められています。“Bloody Mary (Nerve Endings)”はそのリード曲。快く歪むギター・ロックがポップに繰り広げられます。“Here We Are (Chancer)”は正に真骨頂といえるでしょう。ゆったりと進みながらも、スリリングなビートにのっかって、甘いヴォーカルが恐ろしく迫ります。まるでふり向いたらすぐ後にいるかのように。
15 Flowers | LISA HANNIGAN
17 O Sleep | LISA HANNIGAN
1981年2月12日、アイルランド生まれのフォーク系フィーメイル・シンガー・ソングライター、リサ・ハニガン。昨年前半我がV13のトップ・アクトとなっています。そしてその勢いをしっかり保ったまんま後半戦へ。2011年リリースのアルバム“Passenger”の1曲“O Sleep”とそのボーナス・トラック“Flowers”が、トップ31へエントリーを果たしました。同2曲も含め、本作品からはなんと7曲がNo.1をマークしています。柔らかな光の射す音世界……愛がほんのり伝わってくる“O Sleep”。1973年6月18日、ニュー・ハンプシャー生まれのフォーク・ロック系シンガー・ソングライター、レイ・ラモンターニュが温もりのあるデュエットをそえています。そしてトラディショナル・タッチのフォーキッシュな曲がいかにも似つかわしい“Flowers”。美しくも、哀しみの潜むメロディーに、たおやかな歌が深く滲みいります。
18 Evening’s Kiss | WILLIS EARL BEAL
25 Take Me Away | WILLIS EARL BEAL
29 Monotony | WILLIS EARL BEAL
ナチュラル、ローファイ、スピリチュアルなパフォーマンスにふれ、アタマからどうにも離れなくなってしまった人……シカゴ生まれのフォーク/ブルーズ/ゴスペル系シンガー・ソングライター、ウィリス・アール・ビール。フォーキッシュで、ソウルフルで、エクスペリメンタル、そしてブルージーな尖鋭的詩人のスポンテイニアスにゆらめくパフォーマンスはとらえようがなく、それゆえに魅せられます。すべてそのデビュー・アルバム“Acousmatic Sorcery”の曲。‘生一本’の情が、ゆったりと柔らかく、時にどとうの如く烈しくほとばしります。クールに見えつつ、ホット。しかしその温もりにふれようとすれば、突然隠しもっていたナイフで刺す。そんなユニークでかつワイルドな音世界にどっぷり浸っていると、見えないものも見えそうになり……。
20 Peace Of Mind | THE JEZABELS
2007年結成、オーストラリアの男女混合新鋭ロック・バンド、ザ・ジェザベルズ。かわるがわるV13エントリーを果たした、2011年リリースのデビュー・アルバム“Prisoner”収録曲の一つ。同アルバム中随一のマスターピース、私にとってもど真ん中な曲としてヘヴィ・ローテイションとなりました。ファンタスティックなロックにふんわりたゆたう、ピュアなハイトーン・ヴォーカルにとらわれます。
21 Beneath Your Beautiful | LABRINTH featuring EMELI SANDÉ
サンディーがデュエットをしたラブリンスの“Beneath Your Beautiful”。むろん、曲も共につくっています。ラブリンスは、1989年3月21日、ロンドン生まれのR&B/ヒップ・ホップ/シンセポップ系シンガー・ソングライター/ラッパー/プロデューサー、ティム・マッケンジー。アコースティック・ピアノと共に紡ぐ、彼の哀感漂うビター・スウィートなヴォーカルが、サンディーの情熱的なヴォーカルと交わって、心をふるわすソウルフルなスロー・バラッドとなりました。そもそもは、2012年リリースのデビュー・アルバム“Electronic Earth”の1曲。彼にとっては初の英No.1ヒットとなっています。
26 Ho Hey | THE LUMINEERS
グラミー新人賞候補となったがために、俄然注目株へのし上がりました。米ニュージャージーをベースとして生まれたものの、やがてデンヴァーへ移ったという、フォーキッシュなコンテンポラリー・ルーツ・ミュージックを織りなすロック・バンド、ザ・ルミニアーズ。軽やかな弦の響が心地良し。心の襞をくすぐられます。“Ho Hey”は、‘ホーッ、ヘイッ’という生の掛け声がそのまんまアクセントとなっている、フレッシュで潔い曲。
27 My Lagan Love | THE CHIEFTAINS with LISA HANNIGAN
ヨーロッパのいにしえの香が漂います。ケルトからつらなるアイリッシュ・トラディショナルのしらべを今に導くバンド、ザ・チーフテインズが、英欧米のアクトとセッションをした、2012年リリースのアルバム“Voice Of Ages”の1曲。自然体のアイリッシュ・フィーメイル・シンガー・ソングライター、リサ・ハニガンが、ヴォーカルを。孫とすらいえる程年齢は離れていますが、ルーツを同じくするものらしく、しんなりいいフィーリングで交わっています。そもそもはアイルランド北西部のドニゴールのトラディショナル・ソング。‘Lagan’は、北アイルランドのベルファストへ注ぐ河の名ですが、ドニゴールのスウィリー入り江へ注ぐ河を示すとの説も。
30 I Knew You Were Trouble | TAYLOR SWIFT
今やグラミー賞常連のスーパー・アイドル、1989年12月13日、米ペンシルヴェニア生まれの美少女ポップ・カントリー系シンガー・ソングライター、テイラー・スウィフト。2012年リリースの4thスタジオ・アルバム“Red”に収められ、曲そのものもミリオンセラー・ヒット。オンナのコらしくハッチャケタ、ポップ・ロック系の曲ですが、クライマックスで迫られたらもう耳からどうにも離れなくなって。
31 Come Away To The Water | MAROON 5 featuring ROZZI CRANE
1994年、アダム・レヴィーンを核につくられた米ロスアンジェルスのロック・バンド、マルーン5。しっかりとした音にのっかって、荒れ野を行く兵のやりきれない‘想い’を画いたような曲ですね。アイルランドのアクター/ロッカー、アカデミー賞ソングライターのグレン・ハンサード作。アダムのナチュラルに人の心の奥を映し出す、凛としたその歌いっぷりに惹かれました。そっと寄り添うロージー・クレインの艶やかな歌の裏に潜む悲しみがアクセントに。ロージーは、米サンフランシスコ生まれの21歳妙齢のシンガー・ソングライター。アダムの極私的なレーベル222レコーズのタレントとしてふだんはソウルフルなレトロ・ポップを唱っています。春にいったんヒットしたもののリヴァィヴァル。
そして愈々来る週、現在集計中の2012年総合ランキングを!
