The Tennessee Waltz / Patti Page

The Tennessee Waltz : Patti Page 2

Eternal Songs Kaleidoscope 佳曲萬華鏡

Careful 12 : The Tennessee Waltz / Patti Page

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果たしてそれがたんなるロストラヴ・ソングなのか、という話。私にはどうもそんなシンプルなバラッドだとは思えないんですよね。いやまァ、たしかにそのテーマは‘愛するあなた’をたまたまその夜、遭ってしまった旧い友に盗られる、というものです。ストーリーはそうみるしかありません。とてもたいせつなものを失ってしまったという流れから鑑みても、テーマとして伝えたいものはそのドラマティックなロストラヴとみるのが正しいでしょう。しかし、曲が終わった時、心に想い浮かぶものといったら? ビターなロストラヴのストーリーを自らのそれと重ね、想い出に浸る人もいるかもしれません。けれど、それが“Tennessee Waltz”っていかにもうるわしい曲だったんだろうなァ……という想いとかだったとしても、変じゃありませんよね。

本来流れていたのが何という曲だったかなど、どうでもいい筈。シーンのミュージック・エフェクトなんですから。へたすりゃ、御当地ソングの如く、唱う土地毎の替え歌にしたってかまわないんじゃないか、と思われるくらい。“Idaho Waltz”とかね。ですが、そうじゃありません。“Tennessee Waltz”じゃないとだめなんです。詞のココロがそう示しています。

クライマックスとなるブリッジで、‘私’が良く覚えているのは(良く想い出すのは)、(愛するあなたを奪われた)正にその‘夜’と“Tennessee Waltz”と唱っているのです。で、いかにたいせつなものを失ってしまったのか、今、思い知っているのだと。そして、締め。「彼らがうるわしい“Tennessee Waltz”をプレイしていたあの夜、愛するあなたを失ってしまった」と結んでいます。‘The beautiful Tennessee Waltz’と唱い、締められるのです。英語構文上、たまたまそうなっただけでしょうか。否、そうなるよう狙ったのです。いったいなぜ?

<つづく>

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