フォンテラ・バスといったら、“Rescue Me”。“Rescue Me”といったら、フォンテラ・バス。というくらいその曲を誰が唱ったものなのかは知れわたっています。ボビー・マクルーアとデュエットをした“Don’t Mess Up A Good Thing”を始め、“Recovery”等、ほかにヒットがないわけじゃありません。けれど、それが正にフォンテラを表す曲となっています。私もその名で頭に浮かぶのはいつだって“Rescue Me”でした。1965年、25歳の頃のビッグ・ヒット。アース・ウインド&ファイアーを生む数年前のモーリス・ホワイトがドラムスをプレイし、ミニー・リパートンがバッキング・ヴォーカルをつとめたその曲が、出世作としてのみならず、ソウル・クラシックとなったのです。
リンダ・ロンシュタット、シェール、メリサ・マンチェスター、ダイアナ・ロス、サス・ジョーダン、ブライアン・フェリー、パット・ベネター……それを唱うスターの多い事、いならぶその顔ぶれを見ただけでも、いかに長く深く愛されているかがわかります。
クララ・ウォード・シンガーズのマーサ・バスを母にもち、ゴスペルをその源とするシンガーにもかかわらず、コンテンポラリーでかつソフィスティケイトされたフィーリングを感じさせられました。夫となるトランぺッター、レスター・ボウイのアヴァンギャルド・ジャズ・バンド、アート・アンサンブル・オブ・シカゴでパフォーマンスするも、全く違和感がなかったのもそれゆえでしょう。
私生活が第一義……と、表舞台を去るのも早かったとはいえ、パッションのあふれる唱いっぷりは衰えなかったようで。それは以後時々出演したりしたいろいろなもので示されています。
強いパワーを閃かせながらも、たおやかなその聲が、チャーミングな口もとと共に忘れられません。
R.I.P. ……Fontella Bass (1940.7.3 – 2012.12.26)