The First UK Chart

御機嫌いかがですか。ペンギンズ・ジャム・カウントダウン! 今週英国内のシングル・チャートを発表致しましょう。

第12位、“Cry”のビッグ・ヒットでスターダムへのし上がった25歳、デビューしてまだわずか1年の米国人シンガー、ジョニー・レイが、1930年のポピュラー・ソングを唱っています。“Walkin’ My Baby Back Home ”。

第11位、つづいては21歳の米国人美青年テナー、マリオ・ランザが初登場。オペラのスーパースターがG.I.になったら……という彼本人主演の新作米映画“Because You’re Mine”のテーマ・ソングがエントリーを果たしました。

そしてもう一つ第11位となったのが、ラジオ・プログラムをもつ英国人コメディアン、マックス・バイグレイヴスの唱う奇天烈面白ソング“Cowpuncher’s Cantata”。カウボーイのカンタータっていったい……?

第10位、35歳の英国人フィーメイル・シンガーが、彼を想い焦がれる愛とその辛いわかれを唱いつづります。すでに今夏米国内で9週連続、英女性アーティストとしてはじめてのNo.1ヒットを果たした“Auf Wiederseh’n Sweetheart”。ドイツ語でまた逢いましょうと唱えているのがおシャレ!?

第9位、第10位同様、1941年以降、英国女性陣のトップ・スターとしてその名を轟かした、うるわしい聲のヴォーカリストが軽くワルツを踊ったら? “The Homing Waltz”。1951年以降の再ブームの出発点ともなった曲の一つです。

第8位、30歳のドリス・デイが、39歳のフランキー・レインと“Sugarbush”というポルカをデュエット。映画等でもしっかり活躍中、米国人男女のトップ・ヴォーカリストが仲むつまじく唱いつづります。そもそもは“Suikerbossie”というアフリカーンスのトラディショナル・ソングをベースにしてつくられた曲でした。

も一つ第8位、レイ・マーティンがタクトをふる英オーケストラによるインストゥルメンタル曲“Blue Tango”。品のいいタンゴがエレガントに決まっています。

第7位、第10位、そして第9位同様、人気再燃中のスーパースター、なんと三つ目のエントリーとなります。「忘れないでね、私を……」とせつせつと唱う“Forget Me Not”。

同率第7位、ドリスとデュエットをしていたフランキーが“High Noon (Do Not Forsake Me)”を唱い、独りでもエントリー。今夏爆発的ヒットを果たした米西部劇映画“High Noon”のオープニング・テーマとして知られる曲ですね。いろいろなアーティストに唱われましたが、彼のヴァージョンが最もヒットしています。

第6位、24歳の米美人女性シンガー、ローズマリー・クルーニーがたおやかに紡ぐ“Half As Much”。まずは、ハンク・ウィリアムズがカントリー・ソングとしてヒットにいたらしめましたが、ローズマリーがそのポップなヴァージョンを唱い、ミリオンセラーを果たしています。

第5位、25歳の米国人ポップ・ヴォーカリスト、ガイ・ミッチェルが浮かれてつづる“Feet Up (Pat Him On The Po-Po)”。彼の歌っていつでも、なんだかとっても楽しくなりますね。深みはまったくないですけれど。

第4位、米国人クルーナーのスーパースター、ビング・クロスビーがしっとりと紡ぐ“The Isle Of Innisfree”。そもそもはアイルランド人ディック・ファレリーが、ウィリアム・バトゥラー・イェーツの詩“The Lake Isle Of Innisfree”に因んでつくった曲ですが、ジョン・ウェイン等主演の米&アイルランド共同製作映画“The Quiet Man”のテーマ・ソングとしてヒットしています。

第3位、米黒人クルーナーのスーパースター、ナット・キング・コールがしっとりと紡ぐ“Somewhere Along The Way”。奇しくもそのB面は今回第12位の“Walkin’ My Baby Back Home”を彼が唱いつづったヴァージョンでした。

第2位、35歳の米女性ポピュラー・ヴォーカリスト、ジョー・スタッフォードがしなやかに唱う“You Belong To Me”。故郷米国内で12週連続No.1と最もヒットを果たした曲ですね。英国内でもむろんトップに立つ様な勢いとなっています。

そして今週第1位のシートを我がものにしたのが、25歳の米国人ポピュラー・ジャズ・シンガー、アル・マルティーノがろうろうとつづるドラマティックな曲“Here In My Heart”。はじめてのヒットながら、すでに米国内で3週連続No.1をマークしミリオンセラー、英国内でのそれもトップを制しています。今の勢いからすると、9週くらい軽くいすわってしまいそう。

というわけで、3ポジションがダブッているため、英トップ12……もとい、トップ15のすべてをお伝えしました。……ん? なんか変ですか??? ですね。実は今お伝えしたのは、60年に亘る英シングル・チャートの正に始まりとなる、New Musical Express1952.11.14第1回のランキングだったのです。

The First UK Chart

1 Here In My Heart | Al Martino

2 You Belong To Me | Jo Stafford

3 Somewhere Along The Way | Nat King Cole

4 The Isle Of Innisfree | Bing Crosby

5 Feet Up (Pat Him On The Po-Po) | Guy Mitchell

6 Half As Much | Rosemary Clooney

7 High Noon (Do Not Forsake Me) | Frankie Laine

7 Forget Me Not | ???

8 Sugarbush | Doris Day and Frankie Laine

8 Blue Tango | Ray Martin

9 The Homing Waltz | ???

10 Auf Wiederseh’n Sweetheart | ???

11 Cowpuncher’s Cantata | Max Bygraves

11 Because You’re Mine | Mario Lanza

12 Walkin’ My Baby Back Home | Johnnie Ray

1952.11.14 NME

じゃいつもの様に、クイズを一つ。

独り、7・9・10と3ポジションを占め、当たりまくっている35歳の英国人フィーメイル・シンガーってのはいったい誰?

Leave a comment