The Hunger Games : Songs From District 12 And Beyond

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Phantom Liner Notes :

“The Hunger Games : Songs From District 12 And Beyond” -2-

1 “Abraham’s Daughter” Arcade Fire

苦しくつらい闘いのようすが見え隠れするよう。おどろおどろしくロック賛歌風にオープニングを飾るのは、モントリオールで2001年本格デビュー、2011年リリースのアルバムでグラミー賞を穫る程のトップ・スターダムへのし上がった、7人編成の大所帯アート・ロック・バンド、アーケイド・ファイアー。旧約聖書中“創世記”の神と生け贄にまつわるアブラハムとイサク父子の物話に共鳴するものを感じたというソングライターのウィン・バトゥラーが、もしもアブラハムに娘がいたとしたらとオルタナティヴな外伝風ストーリーを想い浮かべてつくったとか。娘は、弓に矢を番え、父に……。むろんその‘娘’が、主人公カットニスをほのめかしているのは言うまでもありません。儚い聲でせつせつと迫るヴォーカルに恐れがじんわり滲んでまいります。

2 “Tomorrow Will Be Kinder” The Secret Sisters

米アラバマ・マッスル・ショールズ生まれのローラとリディアらからなる、米姉妹トラディショナル・カントリー・デュオ、ザ・シークレット・シスターズ。2010年、レコード・デビューを果たしました。そもそもは2011年米国南部を襲い、莫大な被害を故郷にもたらしたトルネードに際し、正にその悲しみを踏まえて蘇らんとする想いをつづった曲でした。それが当映画のスピリットにもはまる事からのピックアップ。河の流れのようなトラッド・フォーク・バラッドがしっとりと紡がれています。

3 “Nothing To Remember” Neko Case

1970年9月8日、米ヴァージニア生まれのタコマ育ち、オルタナティヴ・フォーク・ロック系フィーメイル・シンガー・ソングライター、ニーコ・ケイス。1993年、ヴァンクーヴァーのポップ・バンド、カブのドラマーとしてアルバム・デビューを果たしています。以来自らハー・ボーイフレンズを率い、さらにザ・ニュー・ポルノグラファーズ、コーン・シスターズ、セイディーズ等多数のバンドを通じ、じわじわとその名を知らしめました。ドリーミーな音にのっかって、ハートウォームな歌がたゆたいます。風の如く軽やかに。しかしその裏にはなんとなく胸を騒がせるものが……。カットニスの置かれた絶望的状況がたんたんとつづられます。

4 “Safe & Sound” Taylor Swift featuring The Civil Wars

しっとりとしたスロー・バラッドを、ザ・シヴィル・ウォーズと共に、テイラー・スウィフトがしなやかに歌う、美しくもせつない珠玉作。それは正に主人公カットニス・エヴァディーンの心と呼び合うかのよう。生と死の境をふらふらさまよい歩くようにもみえる姿が幻想的なそのヴィデオクリップがまたいい味わいを醸し出していました。もうそのままカットニスを演らせたらいいのにとも思え。コンサートで歌う姿が妖精然として、ハイライトの一つにもなりました。スウィフトは、1989年12月13日、米ペンシルヴェニア・ワイオミッシング生まれの美少女ポップ・カントリー・シンガー・ソングライター。14歳の時、ナッシュヴィルへ移り住んでからその道へ。2006年、アルバム・デビュー。今や、グラミー賞常連のスーパー・アイドルとなっています。

<つづく>

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