Rest In Peace……Andy Williams

シングル・レコードを買うのも親の監視下で、許しをもらうのが一苦労だった中学生の頃。ヒット中の“Music To Watch Girls By”を買いたいといった時は、アーティスト、曲、理由等を語るまでもなく、すんなりと許しをもらえたのを覚えています。

ソフトな甘い聲、穏やかにソフィスティケイトされた歌、見た目も佇まいもほんとうにいい人としかいいようのないキャラクター。ファンになるかどうかはべつにして、嫌う人は少なかったでしょう。けれん味がなく、自然体で唱い、誰にでもそれがそのまま受けいれられるという。エンターテインメントの極み。

彼がホストを司るTVヴァラエティ・ショウ“The Andy Williams Show”は、正に’60sアメリカン・ポピュラー・ミュージックのショウウインドウでした。彼の唱う曲、そしてヴァラエティに富むゲスト……聴くもの、観るもの、どれもがすべて好ましくとらえられたのは、パフォーマンス時のいかにも情感籠ったようす、親しみのあふれるイントロデュースに因るものでしょう。

べたなスタンダード曲を、ストレートにとらえて、オーソドックスに唱う……誰が唱っても似たようなものと、一見思われますが、“Moon River”、“Charade”、“Dear Heart”、“(Where Do I Begin) Love Story”、“Love Theme From “The Godfather” (Speak Softly Love)”……いずれもみなそのレパートリーとなる曲は、唱ったせつな、彼ならではのものに。似ているようでもしっくりいかず、誰もがまねしえないものとなったのです。

私の愛す曲“Happy Heart”の如く、何時聴いてもすぐ心がふわっと温まるような、そんな歌を唱う人でした。

Howard Andrew “Andy” Williams (1927.12.3 Iowa – 2012.9.25 Missouri)

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