Special : Hit Songs Of The Summer 1985-2011
-9- 2009・2010・2011
Billboard社発表の年次夏季総合ランキングを基に、‘想い出の夏ソングは何か?’を辿るツアー。おしまいは、’10年前後3年のそれです。尚、ランキングは、Nielsen BDSの‘ラジオ・モニタリング’エアプレイ数とNielsen SoundScanの‘POS’ディスク・セールス数のデータに基づいてつくられています。
I Gotta Feeling | The Black Eyed Peas
2009
1 I Gotta Feeling / The Black Eyed Peas
2 Boom Boom Pow / The Black Eyed Peas
3 Knock You Down / Keri Hilson featuring Kanye West & Ne-Yo
4 Best I Ever Had / Drake
5 You Belong With Me / Taylor Swift
6 Fire Burning / Sean Kingston
7 I Know You Want Me (Calle Ocho) / Pitbull
8 Lovegame / Lady Gaga
9 Use Somebody / Kings Of Leon
10 Waking Up In Vegas / Katy Perry
<Billboard : Nielsen BDS | SoundScan>
アフリカン・アメリカン系が上位陣を占めているため、一瞬勢いがぶりかえしたかのようにみられますが、ヨーロッパ系とほぼわけあっている感じ。ただし、ダンス/ヒップ・ホップ/R&B系というくくりなら、過半数をとっています。
一際存在感を発しているのは、ロスアンジェルスのヒップ・ホップ・ユニット、ブラック・アイド・ピーズですね。それまでもトップ10ヒットはいくつか出し、すでにスターダムへのし上がってはいました。しかし、同年春以降秋へ至る間に、スーパースターのスペシャル・シートを奪います。まずは“Boom Boom Pow”が12週連続、それが“I Gotta Feeling”といれかわって14週連続、計26週連続No.1をキープするというとんでもないアクションを示してしまったのですから。それぞれが、現時点で米国内6,000,000、8,000,000という売上数を誇り、そのうえそれらを含むアルバム“The E.N.D.”すらも3,000,000枚以上を売るベストセラーになっているという……。同年夏は、正にその‘ブーム’を、ピークで目の当たりにした時だったのです。それはもう教科書に載るくらいの大事件だったといえるでしょう。マインド、スタイル、サウンドのすべてが旬をとらえていました。つまり、ファッションだったわけですね。音楽面のみに限ってみたら、まァ……。‘見’ていて楽しかったのは確かです。
テイラー・スウィフト(夏時点で19歳)、レイディー・ガガ(23歳)、ケイティー・ペリー(24歳)ら、ヨーロッパ系のポップな新世代スーパー・アイドル女性陣がそろってその名をつらねているのもシンボリックですね。みんな、前年夏、または秋くらいから、勢いがどんどん増しつつありました。
‘締め’の1曲は、ナッシュヴィル(そもそもはオクラホマをルーツとしますが)のオルタナティヴ・ロック・バンド、キングズ・オブ・レオンの“Use Somebody”。オルタナティヴな筈が、’80sふうなロックの正統派王道を行く曲ですね。メロディアスなロックがドラマティックに決まっています。ケイレブ・フォロウィルのエモーショナルなヴォーカルがいい感じ。最高第4位ながら、リイシュー再エントリー以来計56週と1年以上ランキングに留まって、ミリオンセラーとなっています。昨年春、東日本大震災支援コンピレイション“SONGS FOR JAPAN”に収められてもいますね。
Use Somebody | Kings Of Leon
Love The Way You Lie | Eminem featuring Rihanna
2010
1 California Gurls / Katy Perry featuring Snoop Dogg
2 Love The Way You Lie / Eminem featuring Rihanna
3 Airplanes / B.o.B featuring Hayley Williams
4 OMG / Usher featuring will.i.am.
5 Dynamite / Taio Cruz
6 Billionaire / Travie McCoy featuring Bruno Mars
7 Cooler Than Me / Mike Posner
8 I Like It / Enrique Iglesias featuring Pitbull
9 Find Your Love / Drake
10 Not Afraid / Eminem
<Billboard : Nielsen BDS | SoundScan>
ミゴト、ヒップ・ホップ&ラテンのホットな音でまとまった同年夏。正しくは、コラボレイションでヒップ・ホップ・アクトが絡むとか、ヒップ・ホップのフィーチャリング・アクトとしてロック・ヴォーカリストが絡んだりしているのですが、いずれにしろ、ラテン系1曲(音楽性からみるとレゲエも1曲)とヒップ・ホップ絡みでまとまっています。それにしても、‘featuring’だらけですね。もはや、コラボレイションなしではなりたたないとでもいわんばかり。
トップをとったのはケイティー・ペリーですが、一夏制したというなら、第2位プラス1曲トップ10いりを果たしたエミネムの名が上がるでしょう。まずは“Not Afraid”、ついで“Love The Way You Lie”と、2曲連続No.1をマークしていますからね。とくに、ミズーリ生まれの27歳、ホワイト・ラッパーのスーパー・アイドル、エミネムと、バルバドス生まれの22歳、ユニークなR&Bシンガーのリアーナのコラボレイションは、実にすばらしいものでした。傷つけることと傷つけられること、‘嘘’のなかでの‘純’な‘愛’……のようなものをリアルに演じられるのは、並大抵なことではありません。嘘っぽくみえちゃいますからね。けれど、キャラクターがなせるものでしょうか、それがうまくハマッていました。そしてまた、リアーナのねっとりとして偽悪的なへな聲が映えるんですよね、スリリングな哀切感の迫るメロディーに。というわけで、7週連続ベストセラー、エミネム通算4曲目、リアーナ通算7曲目のNo.1ヒットとなっています。
‘締め’の1曲は、今、ヒップ・ホップ系で最も目を惹くアクト、カナダ生まれの23歳、ラッパー/シンガー・ソングライター/アクターのドレイクの“Find Your Love”。なんて美しいんでしょう。エレクトロニックなエレメントをとりいれてはいますが、ピアノをベースに、オーケストレイションのトーンも重ね、メロディアスなラヴ・バラッドがエレガントに繰り広げられます。甘い聲でせつせつと綴るヴォーカルも魅かれますね。最高第5位に止まりながら、ミリオンセラーとなりました。
Find Your Love | Drake
Rolling In The Deep | Adele
2011
1 Party Rock Anthem / LMFAO featuring Lauren Bennett & GoonRock
2 Give Me Everything / Pitbull featuring Ne-Yo, Afrojack & Nayer
3 Rolling In The Deep / Adele
4 Super Bass / Nicki Minaj
5 Last Friday Night (T.G.I.F.) / Katy Perry
6 How To Love / Lil Wayne
7 The Edge Of Glory / Lady Gaga
8 Good Life / OneRepublic
9 E.T. / Katy Perry featuring Kanye West
10 Tonight Tonight / Hot Chelle Rae
<Billboard : Nielsen BDS | SoundScan>
モータウンをつくったベリー・ゴーディーJr.のファミリー・アクト、LMFAOのパーティー・ダンス・ミュージックが、サマータイムにしっくりハマッて、ビッグ・ヒット。前年夏の勢いからすると、ヒップ・ホップ・フィーヴァー再炎上かとも思われましたが、同年夏はまたフィフティ・フィフティな流れへと変わっています。オトコとオンナの闘いもまたそのように。
ケイティー・ペリーも凄かった……
しかし、同年夏のっていうか、1年中休む間も無くスポットライトが当たっていたのは、アデルですね。喉を病み、休んでいても関係無し。英国生まれの23歳、不世出のグラミー賞シンガー・ソングライターは、ずっと快進撃をしまくっていました。アデルらしい生一本の‘ソウル’が決まった、2ndアルバム“21”からのリード・シングル“Rolling In The Deep”は、7週連続No.1、7,800,000以上売るベストセラー・ヒットとなっています。
‘締め’の1曲は、25歳のニューヨーカー、レイディー・ガガの“The Edge Of Glory”で。ロマンティックなシンセ・ダンス・ポップですが、後半部でジャズ・フィーリングも交わってクールなタッチに。クラレンス・クレモンズのサクソフォンがいい味わいを醸し出しています。最高第3位に止まりますが、マルチ・ミリオンセラーとなりました。
The Edge Of Glory | Lady Gaga
