Special : Hit Songs Of The Summer 1985-2011
-7- 2003・2004・2005
Billboard社発表の年次夏季総合ランキングを基に、‘想い出の夏ソングは何か?’を辿るツアー。つづいては、’00s前半終わりの3年ですね。尚、ランキングは、Nielsen BDSの‘ラジオ・モニタリング’エアプレイ数とNielsen SoundScanの‘POS’ディスク・セールス数のデータに基づいてつくられています。
Crazy In Love | Beyonce featuring Jay-Z
2003
1 Crazy In Love / Beyonce featuring Jay-Z
2 Magic Stick / Lil Kim featuring 50 Cent
3 Right Thurr / Chingy
4 Unwell / Matchbox Twenty
5 Rock With U (Awww Baby) / Ashanti
6 Get Busy / Sean Paul
7 Bring Me To Life / Evanescence featuring Paul McCoy
8 This Is The Night / Clay Aiken
9 Never Leave You – Uh Ooh, Uh Ooh! / Lumidee
10 P.I.M.P. / 50 Cent
<Billboard : Nielsen BDS | SoundScan>
今幸福のピークと思われる御両人。ふりかえってみれば同年夏がそのプレリュードだったともいえ(共演曲は前年秋くらいから出していましたが)。シンガーとラッパー、共にヒップ・ホップ界のエースによるコラボレイション曲“Crazy In Love”は8週連続No.1ヒット、同年夏季総合のトップも獲り、グラミー賞獲得へ。10年後は子供も獲得してしまったという。まァ、何か始まりそうなスリル感を醸し出す曲ですもんね。尚、同シングルと22歳ビヨンセのデビュー・アルバム“Dangerously In Love”は此の年の夏、同時第1位獲得(しかも、英米共に)の快記録をマーク。夏はもらったって感じだったでしょう。
クレイ・エイケンの“This Is The Night”は、‘American Idol’のファイナルで唱ったものの1曲ですね。番組終了後、ほどなくしてデビュー・シングルとしてリリースするやいなや、No.1へ初登場してしまうビッグ・ヒット。コンテストそのものは敗れましたが、ミリオン・セールスを果たして、実質上のチャンピオンといわれました。
‘締め’の1曲は、そんな彼を含め3アクトしかいないヨーロッパ系アメリカンの1組、オルタナティヴ・メタル・バンドのエヴァネッセンスの出世作“Bring Me To Life”。米クリスチャン・ロック・バンド、12ストーンズのヴォーカル、ポール・マッコイをゲストに迎えてつくられました。ダイナミックなゴシック・メタル・サウンドにのっかった、エイミー・リーのしなやかなハイトーン・ヴォーカルにとらわれます。米映画“Daredevil”のサウンドトラックに収められ、最高第5位にランク、ミリオンセラー・ヒットとなり、グラミー賞獲得へとつながりました。
Bring Me To Life | Evanescence featuring Paul McCoy
The Reason | Hoobastank
2004
1 Confessions Part II / Usher
2 Burn / Usher
3 Slow Motion / Juvenile featuring Soulja Slim
4 The Reason / Hoobastank
5 If I Ain’t Got You / Alicia Keys
6 Lean Back / Terror Squad
7 Move Ya Body / Nina Sky featuring Jabba
8 Turn Me On Kevin Lyttle featuring Spragga Benz
9 Dip It Low / Christina Milian
10 Sunshine / Lil’ Flip featuring Lea
<Billboard : Nielsen BDS | SoundScan>
ほとんどがブラック勢で占められるなか、同系統アクトの大激戦を制し、頭をとったのは、テネシー生まれの25歳のR&Bシンガー、アッシャーでした。むろん、すでに10年程前からずっとスーパースターダムを昇りつめていた彼ですが、2004年はアリシア・キーズとデュエットをした“My Boo”などの共演曲も含めHOT100エントリー5曲、内No.1となったのが4曲と、それはもう凄まじい活躍振り。なんと、1年の内半年以上(28週)はNo.1にいすわっていたのですから。というわけで、アッシャーの年らしく、夏のそれでもトップ1・2を独り占めしています。
そんなホワイト・ロッカー‘アウェイ’のなか、唯1組、しかも上位陣へエントリーしえたカリフォルニアのロック・バンド、フーバスタンクの“The Reason”はそれゆえ正にその夏つぼにはまった曲だったといえるでしょう。哀しみの詠唱歌。最高第2位、ゴールド・ディスクとなっています。
‘締め’の1曲は、名実共に認められ、衝撃的ブレイクアウトを果たした2001年以降も、メインストリートを歩むスーパースター、アリシア・キーズ23歳の珠玉作“If I Ain’t Got You”。最高第4位ながら、HOT00内40週ランク、ゴールド・ディスクとなり、グラミー賞をもたらしました。ドラマティックで、エモーショナルで、シンシアーなパフォーマンスに心、ふるえます。当ジャーナルのアーカイヴ、同曲関連記事も、どうぞ。
If I Ain’t Got You | Alicia Keys
We Belong Together | Mariah Carey
2005
1 We Belong Together / Mariah Carey
2 Hollaback Girl / Gwen Stefani
3 Don’t Cha / The Pussycat Dolls featuring Busta Rhymes
4 Behind These Hazel Eyes / Kelly Clarkson
5 Don’t Phunk With My Heart / The Black Eyed Peas
6 Pon De Replay / Rihanna
7 Lose Control / Missy Elliott featuring Ciara & Fat Man Scoop
8 Just A Lil Bit / 50 Cent
9 Let Me Hold You / Bow Wow featuring Omarion
10 You And Me / Lifehouse
<Billboard : Nielsen BDS | SoundScan>
夏……ですからね。少し変な曲がヤケッパチで当たったりもします。問 : どうしてまたそんなメチャクチャな曲がヒットしてしまったのか? 答 : 暑かったから(^.^;)。2005年夏、米国は土地によっては50℃となるなど、それはもうクレイジーな‘ホット’サマータイムぶりでした。それゆえか、ねじがゆるんだようなリフレインのものとかいろいろ不思議な曲が少なからずみられます。そんなわけで、マライア・キャリーの唱う“We Belong Together”の如くオーソドックスなスローバラッドが流れるとほんとうに救われたものです。たんたんと唱っているようで、進むにつれて狂おしく……。情感烈しくほとばしる唱いっぷりは、消えかかっていたその類希な歌心が復活したと思わせるものでした。1990年以来コンスタントに毎年出していたため、そうみえませんでしたが、実は2000年を汐にとだえていたNo.1ヒットも、5年ぶりにマーク。それも計14週、自己最高記録となるHOT100内43週ランクのロングセラー・ヒットに。シーン最前線からのフェイドアウト説一蹴のミゴトなカムバックぶりをみせつけて、グラミー賞獲得すらもたらしました。
‘締め’の1曲は、妖艶美人系(と思われた)米ダンス&ヴォーカル・チームとして、当初我が国を除く殆ど全世界で当たったプシーキャット・ドールズの出世作“Don’t Cha”。ニューヨークのスター・ラッパー、バスタ・ライムズを迎え、官能的に決まっています。けれどもまァ、不思議なヒットの一つですよね。‘ケバイ’タッチで進むわりには、ズシンと残るものがなく、終わってしまえば、忘れるばかりという。そもそもが、ただのバックアップ・ダンサーズ(みたいなもの)と、リード・ヴォーカルをとる唯一人マトモなアーティスト、ハワイ生まれの27歳本格美人R&Bシンガー・ソングライターのニコール・シャージンガーを、セクシーなグループとして一つにまとめるっていうのが変なので。初めからニコールがソロ・シンガーとしてメジャー・デビューしていたら、どうなっていたかと想いはめぐります。ともあれそのテの曲が際だった、同年夏。最高第2位、HOT100に40週もランク、ミリオン・セールスを果たしています。なぜそれほどヒットしたか? それは、ネ、暑かったから……。
Don’t Cha | The Pussycat Dolls featuring Busta Rhymes
<つづく>
