Special : Hit Songs Of The Summer 1985-2011
-6- 2000・2001・2002
Billboard社発表の年次夏季総合ランキングを基に、‘想い出の夏ソングは何か?’を辿るツアー。つづいては、ついに21c、今世紀のプレリュード3年のそれです。尚、ランキングは、Nielsen BDSの‘ラジオ・モニタリング’エアプレイ数とNielsen SoundScanの‘POS’ディスク・セールス数のデータに基づいてつくられています。
Bent | Matchbox Twenty
2000
1 Bent / Matchbox Twenty
2 It’s Gonna Be Me / ‘N Sync
3 Try Again / Aaliyah
4 Everything You Want / Vertical Horizon
5 I Wanna Know / Joe
6 Doesn’t Really Matter / Janet
7 Jumpin’, Jumpin’ / Destiny’s Child
8 Higher / Creed
9 Absolutely (Story Of A Girl) / Nine Days
10 He Wasn’t Man Enough / Toni Braxton
<Billboard : Nielsen BDS | SoundScan>
フロリダのオルタナティヴ・ポップ・ロック・バンド、マッチボックス・トゥエンティ、現時点で唯一初のNo.1ヒット曲として知られる“Bent”がトップ。ゴールド・ディスクにもなっています。リード・ヴォーカルのロブ・トーマスにとっては、サンタナのフィーチャリング・ヴォーカリストをつとめて前年秋No.1ヒット、グラミー賞をもらった“Smooth”の流れにつながるものでした。
同年夏は、ホワイト系とブラック系半々にわかれています。ポップ・ロック4曲とダンス・ミュージック1曲のホワイト系が、すべてオトコ(見た目)。ブラック系は、ストリート色を含むR&B5曲で、ジョー以外全員女性陣なのが、なんとなくおもしろいですね。
‘締め’の1曲は、ニューヨーク生まれの21歳妙齢のR&B系シンガー・ソングライター、アリーヤのたおやかなハイトーン・ヴォーカルが閃く“Try Again”。最高峰の中国人武術家スター、ジェット・リーと(ラヴ・シーンなしの)ホットなアイテ役を彼女自ら演じてもいる米映画“Romeo Must Die”のサウンドトラック曲として、15歳のメジャー・デビュー以来唯一初のNo.1をマーク、世界中でヒットを果たしました。Kissシーンすらみられないのが不自然だったとはいえ、力を合わせて車のサイドボディをステップしての蹴りなど、忘れられません。しかしそれから1年たった2001年8月25日、バハマの飛行機事故で命を落としてしまったのです。未だ22歳でした。ビッグ・ヒットで心が躍る想いをしたのも、死んだと聴いても信じられずに唯呆然としていたのも、同じ夏の日の出来事でした。
Try Again | Aaliyah
Hanging By A Moment | Lifehouse
2001
1 Let Me Blow Ya Mind / Eve featuring Gwen Stefani
2 U Remind Me / Usher
3 Hanging By A Moment / Lifehouse
4 Drops Of Jupiter (Tell Me) / Train
5 Hit ‘Em Up Style (Oops!) / Blu Cantrell
6 Peaches & Cream / 112
7 Bootylicious / Destiny’s Child
8 Where The Party At / Jagged Edge with Nelly
9 All Or Nothing / O-Town
10 Fallin’ / Alicia Keys
<Billboard : Nielsen BDS | SoundScan>
旬のヒップ・ホップ・‘アネゴ’(といっても当時未だ22歳ですが)と、レゲエを心にもつオルタナティヴ・ポップ・ロック・‘アネゴ’の異種共闘曲がトップをのっとった同年夏、アフリカン・アメリカン勢が大半占めていますけれども、ライフハウス、そしてトレインら、フレッシュなロック・アクトが比較的上位につけたのが、せめてもの救い(?)でしょうか。カリフォルニアのバンド、ライフハウスは、青いフィーリングが快く弾む“Hanging By A Moment”1曲でスターダムへのし上がりました。同年初め頃からじわじわヒットし、ロングセラーに。4週間第2位で粘りましたが、惜しくもてっぺんの土は踏めませんでした。
‘締め’の1曲は、(ほかのなどとても選べないでしょう)2001年最大のトピックスともいえるニューカマーの曲を。音楽界にとってもそうでしたが、私にとってもそのシンガーのデビューは、正真正銘衝撃でした。エレガントなピアノにしっくりまつわる美しいしらべ、スウィートなのに潔い聲、ソウルフルな力の漲る唱いっぷりにふれた時、後10年はわくわくしながら追っかけられると思わせてくれたものです。米音楽業界のVIPクライヴ・デイヴィスのレーベル‘J’からの本格的なメジャー・デビュー・シングルとして、No.1へ。ゴールド・ディスクとなり、デビュー・アルバム“Songs In A Minor”と共に、新人賞を含むグラミー賞を5つもたらしました。ニューヨーク生まれのソウル系佳人シンガー・ソングライター&ピアニスト、アリシア・キーズ20歳の自作自演曲で、“Fallin’”。
Fallin’ | Alicia Keys
Complicated | Avril Lavigne
2002
1 Hot In Herre / Nelly
2 Complicated / Avril Lavigne
3 Without Me / Eminem
4 Dilemma / Nelly featuring Kelly Rowland
5 I Need A Girl (Part Two) / P. Diddy & Ginuwine featuring Loon, Mario Winans & Tammy Ruggeri
6 Foolish / Ashanti
7 Hero / Chad Kroeger featuring Josey Scott
8 The Middle / Jimmy Eat World
9 A Thousand Miles / Vanessa Carlton
10 Oh Boy / Cam’Ron featuing Juelz Santana
<Billboard : Nielsen BDS | SoundScan>
2001年一躍ブレイクアウトを果たしたカナダのニッケルバックのチャド・クリューガーが、メンフィスのオルタナティヴ・メタル・バンド、サライヴァのジョージー・スコットと、米映画“Spider-Man”のテーマ・ソング“Hero”をコラボレイションし、ヒットに至らしめたのが妙に頭に残る同年夏、トップはネリーが奪っています。今世紀になってからスターダムへのし上がったヒップ・ホップ・アクトとして当時一番勢いがありました。そんな彼を頭として、アフリカン・アメリカン系優勢は変わらず。けれど、第2位・第8位・第9位にフレッシュなポップ・ロック系がズラリ初登場し、トーン的にはいつもと少し変わっています。
で、最もスポットライトの当たったのが、(今年夏上記チャドと公私共にパートナーとなる)カナダ生まれの17歳、キュートに唱うガーリーなロッカー、アヴリル・ラヴィーンですね。我が国のショウケイス・ライヴで天真爛漫溌剌とハジケまくっていたようすが忘れられません。ティーンズのオンナのコらしくわがままにふるまう姿がまた愛しくて……。デビュー・シングル“Complicated”は最高第2位に止まりましたが、ゴールド・ディスクとなっています。ニューヨーク生まれの21歳のR&Bシンガー・ソングライター、アシャンティもまたNo.1ヒット“Foolish”でブレイクアウトし、ホワイト&ブラック両陣営新鋭女性のリフレッシュぶりが際だった夏でした。
‘締め’の1曲は、そんな新鋭女性陣の1人として、同年夏彗星の如くシーンに現われたペンシルヴェニア生まれの21歳、ポップ・ロック系シンガー・ソングライター、ヴァネッサ・カールトンの出世作“A Thousand Miles”。ヴィヴィッドなピアノ・ポップ・ロックの珠玉作ですね。最高第5位ながら、春の始めから暮れまで1年に亘るロングセラー・ヒットとなりました。しかしその陰が見え隠れするためか、次の“Ordinary Day”もトップ30ヒットしてはいますが、いつまでたってもレパートリーとして想い浮かべられるのがこの曲しかないという罠に……。
A Thousand Miles | Vanessa Carlton
<つづく>
