BGM どうせナるなら ナる前にナれ
‘画’ヂカラ凄し 狙いかないし……ん!?
美しくも哀しくゆがんだ音世界を幻想的に綴る、アイスランドのポスト・ロック・バンド、シガー・ロス。そもそもがアンビエントなその音づくりゆえ、センシブルな実験的映像作品のBGMとして使われるケースもよくみられます。
そんなアクトが、6thスタジオ・アルバム“Valtari”のリリースに際し、実験的なプロジェクトを進行中なのですが、それがなかなかいい感じなんですよね。“the valtari mystery film experiment”と銘うたれたそれ、なんと12人の映像関連作家へ同予算で思うがままにヴィデオクリップをつくってくれと頼んだというもの。それぞれがお互い何をどうつくっているかわからずブロジェクトは進められ、1作ずつだんだん世に出していくとか。12人の競作陣も、ニューヨークのフォトグラファー、ライアン・マッギンリーら、かつて知ったるめんめんから、ミュージカル“Hedwig And The Angry Inch”を生み、同映画監督もつとめたジョン・キャメロン・ミッチェルに至るまでいろいろヴァラエティに富んでいます。
そんなわけで、ミュージシャンの想いとかしがらみに縛られず、ピュアに感じられたままの音世界を映像化するという‘不思議映像実験’。夏までにはすべて終わるらしいのですが、どんなふうにまとまるか(まとまらないか)、楽しんでみたいと思います。
the valtari mystery film experiment
まずは、アイスランドのマルチ・アーティスト、ラグナー・キャルタンソンによる、スリリングな“Ég Anda”を視てみましょう。
Ég Anda / Sigur Rós <video : Ragnar Kjartansson>
よかったですね。笑いまくれるうえに、ためにもなるという。えッ? 余りにもおもしろくて、音楽覚えられなかったって……!? たしかにまァ、結末が心配で夢中になってしまい、‘音’がとんじゃうキライもありますね。‘画’ヂカラが凄いのも善し悪し。
それじゃあ、シングルとしてリリースをした“Ekki Múkk”のヴィデオクリップもつくった(プロジェクトのスペシャル・ヴァージョン)、リード・ヴォーカルのヨンシーの妹(デビュー・アルバム“Von”のカヴァー画のモデル)インガ・ビルギスドッティルによる、“Varúð”を。
Varúð / Sigur Rós <video : Inga Birgisdóttir>
ついでですからその“Ekki Múkk”も、どうぞ。
Ekki Múkk / Sigur Rós <video : Inga Birgisdóttir>
尚彼女は、本作品のアルバム・カヴァー作りにも携わったそうで。兄妹愛、美し。ヴィデオクリップがいかにもそれらしいのもうなずけます。
