Lady Marmalade

ザ・フォー・シーズンズらとのシゴトでよく知られるヒットメイカー、ボブ・クルーが、ケニー・ノーランとつくった“Lady Marmalade”。米フィラデルフィア生まれのフィーメイル・ソウル・シンガー、パティ・ラベルが、1971年、それまでのドゥワップ系女性ヴォーカル・グループ、ブルーベルズをファンク色へ塗り替え、再出発をした突然変異種トリオ、ラベルの出世作として知られています。’74年の暮れ、ニューオーリンズ音楽界のVIP、アラン・トゥーサンのプロデュースの下、ザ・ミーターズのバックアップを得てつくられたその曲は、’75.1.4付Billboard HOT100の第98位へエントリー、登場13週目の’75.3.29付ランキングでNo.1へ。ミリオンセラーを果たしました。

なんといってもパワー漲るファンキーなタッチが魅力的ですね。私も1発で天に昇ってしまいました。激情強くほとばしるしなやかなパティのハイトーン・ヴォーカルがもうたまりません。“Voulez-vous coucher avec moi (ce soir) ?”(今晩私と寝る?)というセクシャルな仏語詞が一風変わったいいアクセントにもなっています。

正にラベルならではのオリジナリティ溢れるものでした。そんな曲が再び蘇るとは……。

曲としてはたしかにリズミカルでおもしろいですからね。演る人は多かったといえるでしょう。しかし、それがNo.1を奪えるほどのリヴァイヴァル・ヒットに至るかというとなかなか難しいものがあったわけで。

それをいともたやすくやってのけたのが、英ガールズ・グループ、オール・セインツでした。’98年、デビュー・アルバム“All Saints”からのシングルとして、レッド・ホット・チリ・ペッパーズのカヴァー“Under The Bridge”と両A面スタイルでリリース、オリジナルと比べかわいらしくなったダンス・ポップ・ヴァージョンは、米国内でヒットはしませんでしたが、故郷英国内でビッグ・ヒット、’98.5.9/23付オフィシャル・ランキングでNo.1となっています。

そして2001年、米国内においてもとうとう蘇る日が訪れたのです。

ミッシー・エリオットとロックワイルダーがプロデュース、クリスティーナ・アギレラを始め、マイア、リル・キム、ピンクら、ダンス・ポップ、ヒップ・ホップ、ポップ・ロックのスターが勢ぞろいしたドラマティックなストリート・ソウル・ヴァージョンがそれでした。そもそもがニコール・キッドマン、そしてユアン・マクレガー主演米映画“Moulin Rouge!”のサウンドラック曲としてつくられたもの。ムーラン・ルージュらしくナイト・クラブのムードを醸し出し乍らラヴリー且つセクシーに迫る(ただし、絵空事っぽい)ヴィデオクリップとしっくり合うヴァージョンで、同映画の米上映プロモーションとからんでモンスター・ヒットに結びついています。’01.4.14付HOT100で初エントリー、’01.6.2付ランキングのトップに立つやそのまま5週連続首位を譲りませんでした。クリスティーナにとっては通算4曲目、そのほかの3人にとっては初のNo.1ヒット。あまつさえグラミーのベスト・ポップ・コラボレイション・ウィズ・ヴォーカルズ賞獲得というオマケまでついて、楽曲同様凄まじくドハデなリヴァイヴァルとなったのです。

<つづく>

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