R.I.P. Donald “Duck” Dunn

“Duck”のニックネイムは、ディズニーのアニメをいっしょに見ていた父が突然名づけたものだそう。

なまなましく、温もりのある、ほんのりと色香漂うリズムをくねらすベース・ギター・プレイヤーでした。

サム&デイヴの“Hold On, I’m Comin’”、エディ・フロイドの“Knock On Wood”、ジョニー・テイラーの“Who’s Making Love”、アルバート・キングの“Born Under A Bad Sign”、オーティス・レディングの“I Can’t Turn You Loose”等の’60sソウル・トレジャー、それらから10数年後のスティーヴィー・ニックス&トム・ペティのロック・クラシック“Stop Draggin’ My Heart Around”……いずれ劣らぬなつかしのレジェンダリー・ポップ、私の五つ星ソングでもあります。そしてそのすべての曲で私を躍らせてくれたのが、彼の快く紡ぐグルーヴィーなベース・ラインでした。

オーティス・レディングの音楽史に残るパフォーマンスの一つ、1967年のモンタレー・ポップ・フェスティヴァルでバックを務め、同名米映画としてヒットもしたTVショウ“Saturday Night Live”の“The Blues Brothers”バンドの1員となり、レヴォン・ヘルムのRCOオール・スターズでリズムを固め、スポットライトの当たった人。2004年、クロスローズ・ギター・フェスティヴァルのハウス・バンドで渋くプレイしていたその姿が忘れられません。

しかも彼は、ただのバッキング・プレイヤーとしてのみならず、ザ・マーキーズのトップ3ヒット“Last Night”(’61年)を始め、ライフワークとなるブッカー・T.&ザ・MG’sで、“Hip Hug-Her”(’67年)、“Soul Limbo”(’68年)、“Hang ‘Em High”(’68年)、“Time Is Tight”(’69年)、“Melting Pot”(’71年)等、インストゥルメンタルでいくつものスマッシュ・ヒットを生んでもいるのです。それらはすべて米南部の陽の光を想い浮かべられる、リズミカルで心地良いものばかり。イカシていました。中高生だった私の通学時のテーマ・ソングとしてヘヴィ・ローテイションとなったのはいうまでもありません。

米南部ならではのどろ臭くブルージーなメンフィス・ソウルのリズムは、正に彼の掌でかたちづくられたといえるでしょう。

青少年の頃からの友にして’音楽’人生の相棒スティーヴ・クロッパーらとのライヴ後、ツアーの訪問地東京で亡くなりました。

Donald “Duck” Dunn (1941.11.24 Memphis, Tennessee – 2012.5.13 Tokyo, Japan)

やすらかにお眠りください。

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