Amazing Grace / Mahalia Jackson

Amazing Grace : Mahalia Jackson 5

Eternal Songs Kaleidoscope 佳曲萬華鏡

Careful 7 : Amazing Grace / Mahalia Jackson

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“Amazing Grace”は、“救い”の歌として、どんな人であれ、心を共にしえます。しかし、そんな曲であるにもかかわらず、一点妙なコトバが見られるのです。それが、始まってすぐ現われる、“wretch”。ふつう、“卑劣漢”と訳したりもするコトバなんですよね。かつて奴隷暮らしを強いられていたアフリカン・アメリカン、そしてまたネイティヴ・アメリカン等迫害をリアルに蒙ったみじめな人たちが愛してやまない曲。なのに、自ら「私の如く卑劣漢までも救われた」なんて歌うでしょうか? と思い、別の意味合いをみてみれば、“悲惨、不運、不幸……などに、哀れ、どっぷりつかった人”みたいなものがあり、はまるわけですが。

ただし、実はそもそも“卑劣漢”でよかった、というのが此の曲の深みとなっているんですよね。

ハナシは、詞をつくった人に端を発します。主人公は、ジョン・ニュートン。1725年、英ロンドン生、父親同様船乗りとなった彼は、大英帝国海軍軍人なども経た後、奴隷船に乗るようになります。1748年、そんな或る日の夜、恐ろしい嵐が船を襲ったのです。為す術も無く、ただひたすら神に祈るしかなかったと。そして、何とかかんとか生をつないだ彼は、其の少し後で奴隷船を下り、卑劣漢だった有り様を深く悔い改め、救ってくれた神へ自ら我が身と心を捧げたのでした。1764年、バーミングシャーのオールニーで、英国教会牧師へ。やがて、友のウィリアム・クーパーと共に、詩をつくるようになります。

1773年元旦、“Amazing Grace”は生まれました。それはかつてニュートンが自ら得た神の御慈悲を綴り、世に知らしめたもの。メロディーがつけられていたかどうかはわかりませんが、無伴奏で唱えられるようになります。1779年、同作含むオールニー賛美歌集出版。当初英国内ではそれ程注目も集めませんでしたが、19世紀米国内で愛でられるように。20曲以上のメロディーがつけられますが、1835年、米バプティスト系教会のソングリーダー、ウィリアム・ウォーカーがトラディショナル曲”New Britain”(同作品自体、”Gallaher”と”St. Mary”の融合作)と合わせたものが、以後最も歌われるヴァージョンとなっています。

<了>

Amazing Grace / Mahalia Jackson 1 2 3 S 5

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