Viewpoint : American ‘Idol’ As A Marionette?
<其の三>
かたや、コンテストのプレッシャーを始め、審査員、アドヴァイザー、番組制作陣等々幾多のシバリに、哀れ揺れ惑い、自ら意に染まない曲を、にもかかわらず選んでしまった人もいるみたいで。
ジェシカ・サンチェスが、またもホイットニーの深い潭に溺れてしまいました。総くずれともいえそうだった女性陣悪夢の”ホイットニー・ヒューストンを歌う”回。”I Will Always Love You”を歌い、飛び切り良かったともいえないものの、みんながくずれる中でマトモだったがために褒められたとは思いもよらず、自信満々再び超難関のホイットニーを選んでしまったのです。’高評’の実力を誇示し、圧倒的賞賛を狙ったんでしょうが、スベリました。とりあえずは留まりましたが。似つかわしくないパフォーマンスでした。そもそもが、ビヨンセを愛してやまないジェシカ。ヴォーカルのタイプも、ホイットニーとはそもそも異なっています。なのに、もてる力を計り違え、スーパースターと己の姿を重ねるべくあがいてしまったと。勘違い、過信は、禁物。16歳じゃしかたないかもしれませんが。自然体で挑むのが吉と出るでしょう。それなりに十分な力量は兼備えているのですから。
ホリー・キャヴァナーは、もっとずっと暗い闇に陥ってしまったかもしれません。美しくすなおな声の力に頼り、本来喉自慢になりがちなタイプだけに、あまり知らない(愛せない)曲の嵐に襲われて、我を失っているかのようです。なんでもとにかく歌えてしまうため、選んではみたものの、好んでそれをパフォーマンスしているかも、わからなくなっているよう。多くのいろいろなアドヴァイスにもほんろうされ、がんばればがんばるほど、辛くなるという。選曲的にもしっくりいかないものが続いています。”’80sを歌う”回も、同じ。普遍的な曲だから、と思ったのでしょうが。アイリーン・キャラをどうとらえたのか? 全くその声、キャラクターと合わない曲を選ぶセンスがわかりません。オリジナリティが薄く感じられるからホリー色に染めるのもたやすいとでも踏んだのでしょうか? そうだとしたら、甘くみられたものですね。あのそれほどおもしろくもない(と、音楽界のVIPジミー・アイオヴィンが、番組中アドヴァイザーとしてそう評してもいた)曲”Flashdance… What A Feeling”が、米映画”Flashdance”のサウンドトラック曲として、アカデミー賞ベスト・オリジナル・ソング賞を奪い、シンガーへグラミー賞すらもたらしたのは、アイリーンならではの声とパフォーマンスあってのものだったという事自体わかっていなかったのでしょう。ホリーもまた、18歳。
<いつかまた>
