A ‘Take Away Show’……
一風変わったそのショウを編みだしたのは、仏音楽ウェブサイトLa Blogothèqueを営むChrydeという人。そもそもが新感覚の音楽系サイトをつくろうとしていた彼、いままでにない音楽映像作品を発してみたいと企て、或る男へその熱い”想い”を語ります。それが、ヴィンセント・ムーン……今32歳のパリジャン(当時未だ20歳代半ば、リアルネイムはMathieu Saura)、R.E.M.らとのシゴトを始め、インディーズ系のロック・ミュージシャンともなじみの深い独立系映像作家でした。2009年、日本人友川カズキ(少しエクセントリックなフォーク・シンガー)をとらえたドキュメンタリー映画賞獲得作品”La Faute Des Fleurs”をつくった人。そんな彼とタッグを組み、生まれたのが、”A Take Away Show”(フランス語のタイトルはUn Concert A Emporter)だったのです。
なんてったって、ドキュメンタリーの人ですからね。ウマイ、ハヤイ、ヤスイ……”一発撮り”のゲリラ的撮影で決めてしまうというタッチが、フレッシュなヴィデオクリップを次々生みだしました。そのへんの集合住宅内の階段等で歌うのを撮ったりするものですから、住む人が降りられずに終わるまでじっと待っているのがそのまま映っていたりとか、街の中の暮らしぶりもありあり。ノイズも録られるままで。けれど、それがまたいいんですよね。正にライヴそのものって感じ。音楽は人間の生活と常々共に在ってなんぼのものですし。
というわけで、もちろんすべて外の街を流すのみにあらず、シチュエイションはいろいろですが、一種妙なパフォーマンスがズラリ。ミュージシャンの”生”の姿を楽しめるショウとして、おもしろいかと。
尚、第1号は、2006年の春4月発信、米デラウェアのインディーズ系ロック、ザ・スピント・バンドを映したものでした。以来主なラインアップとして、R.E.M.、アーケイド・ファイアー、ボン・イヴェール、マムフォード&サンズ、フリート・フォクシーズ、シガー・ロス、ブロック・パーティー、ザ・ナショナル、ザ・クークス、アンドリュー・バード、シャロン・ヴァン・エッテン、ベニ・ヘム・ヘム、ヴァンパイア・ウィークエンド、アンナ・カルヴィ、カズキ・トモカワ、そしてリアンヌ・ラ・ハヴァスら、ムーン以外の監督が撮影したものも含め、ゆうに100組以上のアーティストがシューティングを果たしています。
それじゃあ、おしまいにもう一つ、私も御一緒にV13常連株の美しいしらべに浸るとしましょう。生の臨場感がハンパじゃありません。
A Take Away Show : Fleet Foxes
