Grammy 2012 Ceremony

Grammy 2012 Ceremony

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さてと、タイミングを逸してしまった感もありますが、GRAMMYセレモニーのショウをふりかえってみましょう。

Bruce Springsteen & The E Street Band “We Take Care Of Our Own”

現在世界一豪華なオープニング・アクトでしょうね。ブルース・スプリングスティーンとEストリート・バンドで最新曲のパフォーマンス。歳をとったなァ、みんな、というのがそのファースト・インプレッションではあまりにも冷たいでしょうか。もちろんだからだめだとか、そんなんじゃありません。なんとなくそう感じたってだけです。とはいえども、ライヴはいつもの彼らしいものだったし、とりあえず勢いはあったと。しかし、それで良かったのでしょうか。

ついで、LL・クール・Jが姿を現し、彼のキャラクターに似つかわしくない面もちで、ホイットニーの死にふれ、ファミリーのひとりを亡くしたという厳かなる語りへと続くわけですが、何よりもまずそれがショウの一番初めにあるべきだと思うんですよね。んでもって、やはりEストリート・バンドという”ファミリー”でクラレンス・クレモンズという欠くべからざる友を亡くしたスプリングスティーンに繋いでいたなら……。そしてもちろんスプリングスティーンも、今も尚現役でアクティヴなのを誇るべく、最新曲で飛ばすのもいいですが、今舞台に限ってはクレモンズを想い浮かべられるような昔の十八番をパフォーマンスしてくれても良かったんじゃないかと。伝説的なプレイからありし日の姿が偲ばれるような曲を。”Jungleland”じゃちょっと長いかもしれませんが、”Thunder Road”ならふさわしいし、オープニングに合わせるなら”Born To Run”あたりでも涙を誘う良いパフォーマンスになったと思うのですが。スプリングスティーンのことですから、あえてそうしなかったんでしょうけれどね。

いずれにしろ、式次第を逆にしていれば、「皆興奮しているかい?……」というおぞましいホスト”J”のセリフも続かなかった筈ですし……あろうことか、ホイットニーの’94年の”I Will Always Love You”の短いプレイバックと、それに皆が応え、立ち上がったその後で(ちなみにまわりがすべて立ち上がったのをみてとって、ゆっくりとしんがりに立ち上がった超大物は、誰あろう、アデルでした)。

Bruno Mars “Runaway Baby”

ブルーノ・マーズでいつものお祭がほんとうに始まったって感じ。ジェイムズ・ブラウンを思わせる’50sソウル風舞台はまあ、フツーでした。古いタッチでパフォーマンスしてくれましたが、オリジナルですし、緊迫感を和ませるようなものになっていたとは思います。とはいえなんかだんだん彼が色ものめいて見え始めてきたんですけれど。

Alicia Keys & Bonnie Raitt <Tribute To Etta James> “A Sunday Kind Of Love”

アリシア・キーズとボニー・レイット……異色組み合わせですが、エタ・ジェイムズのトリビュートというわけで、それなりに頷けるものではあるでしょう。格としてもわるくないし。アデルが暇だったならぜひお願いしたいところですが。ともあれしっとり決めてはいました。しかし、ふたりとも妙に違和感のあるコラボレイション(っていうか、ただのリレー?)で、エタへのただならぬ想いみたいなものが伝わってきたかっていうと……???。プレゼンターの前ふりだったら、そういってくれればいいのに、否、むりにトリビュートしなくても良かったかも。ホイットニーについてのべた後、エタもそうでしたとつけくわえるくらいなら。数日後、ホイットニーの御葬式で大絶唱を果たしたアリシアゆえに、なおさらこの日もそちらへ回るべきだった、と。

Chris Brown “Turn Up The Music” / “Beautiful People”

クリス・ブラウン、御得意の歌……ならぬ、ダンスを見せつけまくるパフォーマンスは一見、猿山で小猿(蝙蝠も仲間?)が暴れているようで、カッコイイ(褒めています)。しかし、数年前の(グラミー・プレ・パーティーの夜当時恋人だったリアーナを殴り、共にセレモニー不出演に至らしめたという)不祥事を頭に想い描いてしまうと、もっと違うかたちでの演じかたもあったんじゃないかなと。接近禁止令は解かれていましたが(なんとおまけに復縁説も囁かれるしまつ)、保護観察中でもありますしね。アスリート並の空転決めてもなんか違うというか。

Jason Aldean & Kelly Clarkson “Don’t You Wanna Stay”

ジェイソン・アルディーンとケリー・クラークソン。そもそもがカントリーの注目株アルディーンの’10年のアルバム”My Kinda Party”でデュエットを果たした曲のパフォーマンスをフツーに。カントリー系ランキングでNo.1になってもいる曲ですし(ポップ最高第31位)、慣れたものですね。もんくなくいい感じではありましたが、ただそれだけでした。

Foo Fighters “Walk”

フー・ファイターズ、さすが超大物(良いコ)ですね! 会場外の隔離特設舞台でプレイし、本会場舞台転換のおてつだい。アグレッシヴなライヴを決めてくれました。それくらいかな。

<つづく>

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