At The Grammy

Viewpoint : The 54th Annual GRAMMY Awards

– 9 –

極私的にいくつか想い出に残る(よくもわるくも)賞をピックアップしてみましょう。

Best Pop Duo/Group Performance
Body And Soul / Tony Bennett & Amy Winehouse
track from : album “Duets II”

昨年当ブログにおいてもずいぶん書かせていただきました。ベスト・トラディショナル・ポップ・ヴォーカル・アルバム賞もかちとった”Duets II”の1曲。いろいろべつのかたちでスポットライトも集め、獲らなければうそってくらいど本命候補作だったわけですが、たとえその死がなかったにしろ、出来映えそのものが疑いなく同スタンダード曲の傑作選の1作に値するものだと思います。

Best Rock Performance
Best Hard Rock/Metal Performance
Best Rock Song
Best Rock Album

すべてフー・ファイターズがもっていきましたとさ。このところとみにロック・レジェンドらとの交わりにめざめ、先輩連にかわいがられるデイヴ・グロールの作戦勝ちといえるでしょうか? いずれにしろその陰で、コールドプレイ、レイディオヘッド、マムフォード&サンズらがおにぎやかしに。愛すべきウィルコも7年ぶりの誉ならず(ううう)。渋いところではザ・ディセンバリスツも涙をのみました。まァ、そもそもあの珠玉作”Helplessness Blues”をつくったフリート・フォクシーズがノミネートされていないという点でもう、わけがわかりませんけどね(ロックじゃないらしい)。

Best R&B Performance
Is This Love / Corinne Bailey Rae
track from : The Love EP

コリーヌ・ベイリー・レイについては何らもんくはありませんが、そうですか、ボブ・マーリィの”Is This Love”ですか。レゲエ・レジェンドの曲も、もはやクラシック化したという。

Best Rap Performance
Best Rap/Sung Collaboration
Best Rap Song
Best Rap Album

すべてカニエ・ウェストがもっていきましたとさ。もうね、カニエにあらずんばラップにあらずって勢い。しかし、純粋に作品を評価しているかどうかは疑わしいものがあります。えらそうなキャラクターがそのまんま皆の頭の中に固まっちゃったっていうか。惑わされ過ぎって感じ(脅されているとまでは言いませんが)。いつも、それなりに良いものをつくっているのは認めますけれど。Jay-Zとコラボレイションをした”Otis”なんぞ、”ソウル・レジェンド”オーティス・レディングを尊んでいるなんてとても思えないおぞましい作りでしたからね。んでもってそのあおりで、ドクター・ドレー、エミネム&スカイラー・グレイのスリリングな珠玉作”I Need A Doctor”が冠なしで終わってしまったわけで。新時代のヒップホップならではのコラボレイションだったにもかかわらず。そして一番旬なアクトの1人、ルーペ・フィアスコもその陰に隠れるはめに。

Best New Age Album
What’s It All About / Pat Metheny

え、ニュー・エイジ!? ……っていえるのかな? ギターがちょっぴり変わっているものの、テクニックが凄いってだけで……(^.^; いずれにしろ、ふつうなら家でくつろいで弾いてみちゃったようなものが、パットにかかるとリッパなアートになる、という。出来映えはたしかによかったし、愛聴盤だったからうれしいのですが、ニュー・エイジ???

Best Improvised Jazz Solo
Best Jazz Instrumental Album

共に、チック・コリアが、スタンリー・クラーク、そしてレニー・ホワイトという、彼自身による’70s”フュージョン・レジェンド”リターン・トゥ・フォーエヴァーの核となるリズム・セクションを集めてつくったアルバム”Forever”とその1曲がかちとりました。スタンリーのファンとしてはうれしいのですが、彼らがいまだに獲っちゃうなんて……なんとなく常連化しつつあるし、大丈夫なのか、ジャズ!!!

Best Latin Pop, Rock, Or Urban Album
Drama Y Luz / Maná

ヴェテランならではの良い出来映えだったので、報われてうれしい限りです。

Best Blues Album
Revelator / Tedeschi Trucks Band

12年程前、突然新人賞候補となり、あっと言わせたスーザン・テデスキ。それからもいろいろノミネートはされてきましたが、叶いませんでした。で、夫デレク・トラックスとつくったおし鳥バンドによる”Revelator”で初受賞なんて出来過ぎ。けれどいい感じ。

Best Folk Album
Barton Hollow / The Civil Wars

セレモニーではおしゃべりがすべっていましたが、今注目の1組。よかったとは思いますけれど……フリート・フォクシーズがなぜ獲れない?

Best Instrumental Arrangement Accompanying Vocalist(s)
Who Can I Turn To (When Nobody Needs Me) <Tony Bennett & Queen Latifah>
arranger : Jorge Calandrelli
track from : album “Duets II”

エイミー・ワインハウスのがなかったら、”Duets II”の白眉的作品といえるでしょう。ミュージカル・クラシックとして知られる曲そのものの美しいしらべをドラマティックにまとめています。しかし、そんな流れにうまくのっかったクイーン・ラティファの歌についても讃えられるべき。世に現われたのが”ラップで”だったなんて信じられません。

Producer Of The Year, Non-Classical
Paul Epworth
Call It What You Want <Foster The People>
I Would Do Anything For You <Foster The People>
I’ll Be Waiting <Adele>
Life On The Nickel <Foster The People>
No One’s Gonna Love You <Cee-Lo Green>
Rolling In The Deep <Adele>

ポール・エプワース、アデルに止まらずなかなか良い仕事振りしていますね。正に今が旬のプロデューサーといえそう。

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