きっとほんとうに幼いころからよく歌を歌う娘だったのでしょう。アリサ・フランクリンのバックで歌っていたその母シシーを愛していたから。シシーと共に歌ったりもした従姉妹のディオンヌ、そしてディー・ディー・ワーウィックらとの縁もありますし。そんなファミリーで歌う楽しさが源にありました。たとえふつうの暮らしとはいえなかったとしても。

そして、シャカ・カーン、ルウ・ロウルズ、テディ・ペンダーグラスなどのバックアップを経て、ソロ・シンガーとしてデビューを果たしたのが、21歳の時。モデルをしていたほどの美しさをあわせもち、はつらつとして光り輝いていました。愛らしいのにエモーショナルなソウルをしなやかに歌う、ファッショナブルな本格派として。それまでのソウル界のスターのたたずまいとは少し違う華があったのです。正にそう、華やかな人でした。それゆえにスクリーンでその姿を魅せられもしたのです。

叶うならまたただ楽しくて歌っていたあの頃に帰りたかったでしょうね。

FENでデビュー・シングル”You Give Good Love”が流された時、雷に撃たれたかのように震えがきたのを覚えています。

そのたおやかな声をもう少し聴いていたかった……

Whitney Elizabeth Houston (1963.8.9 – 2012.2.11)