ところでその”Willie And The Hand Jive”のWillieっていったいなにもの? 詞からすると、”ハンド・ジャイヴ”ダンスでその名を轟かせた男の話らしい。ならばそれは誰なのか、と追っていっても、或る一個人に辿りつくってわけじゃないみたいです。同じ年の春、2か月くらい前にリリースされたチャック・ベリーのシングル”Johnny B. Goode”とちょっぴり似ていますね。あれはいろいろな説がありましたが、ギターがもの凄くウマイ男の話、つまり彼自身を歌っていたようですが。であるなら、Willie = Johnny……ジョニー・オーティスそのものといってもいいかも。リアルな御本人、マルチ・アーティストにもかかわらず、ダンスがとびきりうまいわけじゃなさそうですけれど。
ともあれそもそも、彼のマネイジャーの1人ハル・ヅァイガーが、英国内で行われたとあるロックンロールのコンサートで、立ったり踊ったりするのを禁じられていたオーディエンスが、席にすわったまま掌、拳、腕を回したり叩いたりしながら”踊”っていたのを見た話に因るものなんだそうで。それを彼のコンサートでもとりいれ、オーディエンスと共に”踊”る様になったという流れがあったとか。
そんなジョニー・オーティス・ショウのシングル”Willie And The Hand Jive”がリリースされたのが、’58年初夏。8月4日付米Billboard HOT100の第9位にランクされるスマッシュ・ヒットとなっています。すでに’48年以降、R&B系のランキングにおいては16曲のトップ10ヒットを飛ばしていた彼ですが、ついに同作品で初のポップ系ランキングへエントリー、しかもトップ10へ、というオマケ付でした。尚、R&Bランキングにおいても通算4曲目のNo.1に輝いています。
ちなみにそのカヴァー・ヴァージョンとして最も良く知られているのが、エリック・クラプトンのそれでしょう。テンポがスロー・ダウンされたそのヴァージョンは、’74年リリースのアルバム”461 Ocean Boulevard”に収められ、唯一初の米No.1ヒット”I Shot The Sheriff”に続くシングルとしてリリース、米Billboardで最高第26位にランクされるヒットとなっています。
USA “Willie And The Hand Jive” Hits
The Johnny Otis Show <9> 1958
The Strangeloves <100> 1966
Eric Clapton <26> 1974
George Thorogood & The Destroyers <63> 1985
*Billboard HOT100ランク曲
