Willie And The Hand Jive

HAWHOKKKEKYO 真説大衆音楽”洋”語辞典

hand jive

「せっせっせーのよいよいよい」というイントロダクションで始められ、真正面に向き合い掌を叩き合う遊び歌、ありますよね。最もおなじみなのが、「なつもちいかづくはあちじゅうはちや」の出だしで知られる、明治の唱歌『茶摘』。あれと少し似た遊び歌が、英・米にもあります。”Pat-A-Cake, Pat-A-Cake, Baker’s Man”がそれです。で、それをもっと複雑化したものといわれるのが、とくにR&B/R&Rとなじみの深い”ダンス”、ハンド・ジャイヴ。掌、拳、腕をアップ、ダウン、ロールし乍ら、上半身で踊るダンス(の様なもの)ですね。手拍子をベースに、ふとももを始め、まるで見えないパーカッションがあるかの如く、身体中を叩くアクションがキメテ。

生まれたのは’50年代後半頃、英ロンドン・ソーホーのコフィー・バー”The Cat’s Whisker”の地下室あたりからだとか。店が混み合い、思うがままに踊れなかったため、脚でステップを踏むかわりに、掌でリズムをとったのが始まりだったそうな。

そして、それを世界中に広めたものが、’58年のヒット曲”Willie And The Hand Jive”でした。ロックンロールのスーパースター、ボ・ディドリーのルンバ系ビートをとりいれ、鎖につながれた囚人達チェイン・ギャングの歌にもちょっぴりインスパイアされてつくられた曲。自作自演曲としてレコーディングされたオリジナルは、Billboard HOT100のトップ10ヒット(最高第9位)に。さらにその後、クリフ・リチャードを始め、ジョニー・リヴァース、グレイトフル・デッド、ジョージ・ソログッド、エリック・クラプトン等多数のアーティストにカヴァーされることになります。

踊らずにはいられない楽しさあふれるリズム感が、すべて。一回聴いたらもう癖になります。私もそうでした。何といってもそのノリの良さ、わくわくするような楽しさが、R&B、そしてロックンロールの醍醐味に通じるものだったと思います。

それをつくったのが、ギリシャ人の血を引く米カリフォルニア生まれのマルチ・アーティスト、”ゴッドファーザー・オブ・リズム・アンド・ブルーズ”という呼び名で知られる、ジョニー・オーティス(1921年12月28日 – 2012年1月17日)でした。

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