2011 V13 -3-
Who You Are / JESSIE J
ストリート的感覚を孕むポップなソウルが持ち味ですが、とにもかくにもキャッチーで、正に今ど真ん中の”音”がチャーミング。歌そのものよりも、ファッショナブルなセンスっていうか、ぶっとんだその佇まいが衝撃的で、ヒットに結びついたという説もあるくらいですが、案外本格派だったりもします。というわけで、ヒット曲”Price Tag”の替わりにいち早くこの曲がエントリーしたのはそのへんから。2011年リリースのデビュー・アルバムのタイトル・トラックなのですが、ほんとうは愛らしいハイトーンのハスキー・ヴォイスをふりしぼって歌うラヴバラッドがしっくりなじんでいます。売れ線のリード曲と違い、正にその真髄的魅力が滲み出た様な曲。
Just A Dream / SAM TSUI & CHRISTINA GRIMMIE
YouTubeのビッグ・ヒット。17歳、謎の美少女クリスティーナ・グリミーと、21歳のエール大学生アーティストサム・ツイのコラボレイションにより、2010年11月20日作成、’11年4月11日21時21分現在再生回数21,261,237回ですからね。モンスター・ヒットといえるでしょう。曲は、米ラップ界のトップ・スターの1人、Nelly’10年の米トップ3ヒット。それをいうなればしろうとさんがカヴァーしているわけですが、YouTubeで今人気の2人がデュエットしているってことで、曲の良さもあいまって爆発的に当たっています。ナチュラルに美しくて、オリジナルよりもいいくらい。
Set Fire To The Rain / ADELE
アルバム”21″のすべての曲がかなりのヘヴィ・ローテイションなのですが、いつだって締めはこれで。ドラマティックで、エモーショナルで、ソウルフルで……胸をとらえてはなしません。
Jar Of Hearts / CHRISTINA PERRI
2010年の曲ですが、再びヘヴィ・ローテイションに。米TVショウ”アメリカン・ダンス・アイドル(So You Think You Can Dance)”で火がついたうるわしいスローバラッド。ゆったりとしたピアノの響きをともなって、深い情念的なゆらぎがひしひしと伝わってまいります。妙齢米美人シンガー・ソングライター、クリスティーナ・ペリーの出世作となりました。それがなぜ再び私の中で火がついたかというと、ついにそのメジャー・デビュー・アルバム”Lovestrong”のリリースが決まったから。
I Need A Doctor / DR. DRE featuring EMINEM & SKYLAR GREY
エミネム&リアーナの珠玉作“Love The Way You Lie”の作曲陣の1人、かつてロック系女性シンガー・ソングライターとしてソロ・デビューも果たした、1986年2月23日、米ウィスコンシン生まれのホリー・ブルック。2006年のデビュー作もかなりいいアルバムでした。後に、リンキン・パークのマイク・シノダのプロジェクト、フォート・マイナーの”Where’d You Go”でもまたその声がフィーチャーされています。そんなスカイラーが、曲づくりのみならず歌でもちゃんと関わっているのが、エミネムの後見人ドクター・ドレーによる、スリルたっぷりのヒップホップ曲。それがもう美しくて、まるで天からの声のよう。
Talking To The Moon (Acoustic Piano Version) / BRUNO MARS
せつなげに愛をつづります。2010年突如彗星の如く現れ、スターダムへ。グラミー賞獲得も果たした、1985年10月8日、ハワイ生まれの米男性シンガー・ソングライター&プロデューサーによるデビュー・アルバム”Doo-Wops & Hooligans”収録曲のピアノ・アコースティック・ヴァージョン。”SONGS FOR JAPAN”に収められ、リヴァイヴァルしています。
Firework / KATY PERRY
1984年10月25日、カリフォルニア生まれの米美人ポップ・シンガー・ソングライターによる、’10年リリースの2ndアルバム”Teenage Dream”の3rdシングル曲。スピリチュアルな自己啓発能力をものにする応援歌ですね。メロディアスで勇ましい。どんどんどんどんカラダの内の気が昂まるのがわかります。恐らくは本アルバム中、最需要な曲。BillboardでNo.1、5百万枚突破を果たしました。”SONGS FOR JAPAN”収録曲として、再び燃え上がっています。
Éblouie Par La Nuit / ZAZ
1980年5月1日、フランス・トゥール生まれのイザベル・ジュフロワ。ニックネームがステージネームにもなった、少しジャジーなフレンチ・ポップス系女性シンガー。ストリートで歌っていたというパリのモンマルトルの香が感じられます。ブレイクアウトを果たした、2010年リリースの1stアルバム”ZAZ”の1曲。1年半前からそれなりに親しんでいましたが、NHKの”Amazing Voice”でとりあげられていたのを観て、再び火がついてしまいました。エディット・ピアフの系統継ぐ新感覚のシャンソンながら、センスそのものはジャズっぽく、フォーキッシュな面も感じられ……と一筋縄ではいかない音楽性がたまりません。姐御系でありながら、キュートなハスキー・ヴォイスがチャーミング。天真爛漫享楽的な雰囲気がまわりを包みます。仏ポップ・スターのラファエル・アロッシュが書き下ろした、めくるめく狂おしく閃く愛の歌。誰もがびっくり得意技の掌ホーンのスキャットがフィーチャーされた”Je Veux”と共に、正にその真骨頂が感じられます。
Dragon / LOU REED & METALLICA
びっくりしてちょっぴりちびった異彩変態共演、アンダーグラウンド”アンチ”ロックのエース、ルー・リードが、メタルのエース、メタリカと組んでつくった2011年リリースのアルバム”Lulu”の1曲。ヘヴィに決まった”メタリカン”ロックとあいまってどろどろくりひろげられるルーの呪文歌、11分以上にわたるその曲のえんえんと続くリフレインに狂わせられます。
You’ll Be Mine / THE PIERCES
米南部アラバマ州バーミンガム生まれのキャサリンとアリスンらピアース姉妹を中心に結成された、ニューヨークをベースとするロック・バンド、ザ・ピアーシズ。オンナのコのかわいらしいデュエットがすがすがしく繰りひろげられます。それは、まるで初夏の高原の涼風のよう。歳がいくつかはないしょです(……33と35)。フォーキッシュでポップ、それも’60年代英国風なフィーリングをもつ、アメリカンらしからぬ湿っぽい音楽性。しかしそのしっとり感が英国人にはしっくり合うんですよね。ゆえに、デビュー・シングル”You’ll Be Mine”も、米国内ではさっぱりですが、なぜか英ヒットチャートで最高第46位をマークしています。我がV13でもじわじわとアップし、エントリーを果たしました。
Art Of Almost / WILCO
ジェフ・トゥイーディー司るシカゴのオルタナティヴ・ロック・バンド、2011年リリースの8thスタジオ・アルバム”The Whole Love”のアタマの1曲。ジェフ十八番(^.^;)のブラック・アイド・ピーズと競る(!?……嘘ですが)7分オーヴァーのエレクトロ・サイケデリックな1大組曲となっています。とはいえども、音がちょっとあれ(エキセントリックでハードにひずみまくり)なのを除けばなかなかにポップ(え!?)。ヴォーカルも甘く、ほとばしるパッション(?)が感じられます。
Corriente Vital / OJOS DE BRUJO
ルーツであるフラメンコをベースに、ファンク、ヒップホップ、ラテン、ラーガ等多彩な音を融合化、新感覚の音世界をかたちづくったスペイン・バルセロナの大所帯ジプシー風グループ、10周年記念解散ツアー中のオホス・デ・ブルホ。最新作にして初のベスト盤で終わりというのもきれいというか、寂しいというか……。極私的に21世紀最も目をつけていたバンドだっただけに、残念感もひとしおです。これはそのリード曲にして新録作。いつもながらエキゾティックでリズミカルなクロスオーヴァー・ミュージックにのっかって、マリーナ・”ラ・カニラス”のたおやかなヴォーカルがゆらめきます。ゆったりと……幻想的に。こんなステキなアクトが消えてしまうなんて……。
My Favorite Things (Live In Marciac) / BRAD MEHLDAU
“Live In Marciac”という2011年リリースのライヴ盤(’06年、仏録音)の1曲。エヴァーグリーンなポピュラー”クラシック”を、彼らしくゆるやかに優しくまとめています。水のたゆたうようなソロ・ピアノと、ワンダーランドの旅へ。旅のすべてが終わった正にその時、オーディエンスといっしょに顔をほころばせたのがわかるよう。”My Favorite Things”の名演集にまた一つ、確かなるベスト・パフォーマンスが加わりました。
<了>
おっとっと忘れちゃいけません!
Always Look On The Bright Side Of Life / ERIC IDLE
英国一のコメディ”モンティ・パイソン”の1979年映画”Life Of Brian”でエリック・アイドルが歌い、知る人ぞ知る大傑作。さあみなさんも、口笛吹き乍ら、ごいっしょに。
さてと、果たしてどの曲が2011V13へ姿を現すでしょうか? 答は、あした。
<つづく>
