21 / Adele

Viewpoint : 2011……The Year Of Adele  -3-

Review : 21

藍色悲嘆女帝……Bluesに彩られた”Queen Of Pain”。酒とタバコ(と、肉)を少し多めにたしなむフツーのオンナのコが、今やそう讃えられるまでにいたりました。

うそっぽい詞をうそっぽく歌う”ふりをする”人がメインの音楽界に現われた、リアルな英国自作自演歌手による、自然体の1作。音楽賞受賞の嵐をかいくぐった北米大陸中心のワールドツアーも一段落しての2009年5月、21歳の時に作り始められたそう。ナチュラルそのものだった”19″からいくぶんポピュラリティーを増し、メロディアスでつかみのあるフックに満ちあふれたクラシック・ポップが詰まっています。ピアノを核に、ギター、ホーン、ストリングス等をあるべきところに配し、時に極みまで削ぎ落とした音世界。オルタナティヴなロック、モータウン系ソウル、ゴスペル、サザーン・ブルーズ、カントリー等様々なエッセンスを感じさせられます。

心の襞に潜む傷を刳り出していながら、えぐみなどは感じられません。伝わってくる情はせつせつとして狂おしいものですが、おしつけがましくもなく。温もりのある声にいつしか包まれるという。やがてそれぞれの心が一つにつながって。支えてあげたくもなり、支えてもらえたりもし。たおやかな声で心を癒されながら、しなやかに弾む強く凛とした歌に力を貰えます。

生の詞、生の音、生の歌……それが、すべて。登場時の赤裸々に生一本な佇まいはいくらかソフィスティケイトされたとはいえ、想いがそのまま胸を射て、1点の濁りなし。

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