All I Want For Christmas Is ……

Viewpoint : Merry Christmas Music 4

前記表を眺めるとなんかいろいろ想いめぐらされます。

ビング・クロスビー、ミッチ・ミラー、ジョニー・マティス、アンディー・ウィリアムス、バーブラ・ストライザンドなどのアルバムが回るターンテイブルをかたすみにしつらえたリヴィング・ルームで、ファミリーがいっせいに集い、楽しそうにしている姿が目に浮かぶような’40、’50、’60s。そんな時代的感覚すらおかまいなしにぶっちぎりのNo.1を奪うほど、エルヴィス・プレスリーのフィーヴァーぶりが凄まじいものだった由がみうけられますね。

とはいえども、古き良き昔。音楽選びさえファミリーの”長”として父が司るものであるようすがうかがえます。それが、コドモに委ねられるようになったと思わせられるのが、’70s。ジャクソン5を始め、パートリッジ・ファミリー、マペッツといっしょのジョン・デンヴァーなどがそのゆえんです。しかしそのかたわら、もうちょっと上のオトナも含むヤング・ジェネレイションが集い、皆で”ディスコティック”パーティーを楽しんでいる姿が思い浮かべられるサルソウル・オーケストラなんてのもあり。結婚前・後に関わらず、愛し合う2人(ただしいたってフツーの)に似つかわしいカーペンターズも。と、いろいろあり、もはやファミリーが我が家に集い、皆で共に聴くものばかりではなくなったことがわかります。

’80s、カントリー勢が増えたのもその流れがさらに進められていった証(不況下の保守化も一要因ですが)。リヴィング・ルームにいるのはもう父・母世代のみになったと。”スーパー・アイドル”ゆえのニュー・キッズ・オン・ザ・ブロックとなるとうってかわって親世代が絡みませんし。

’90sも、基本的に同じ。爆発的な”クリスマス”ブレイクアウト後、定番化を果たしたジャズ・サクソフォニストのケニー・Gを始め、バリー・マニロウ、ハリー・コニック・Jr.、セリーヌ・ディオンら、それぞれが都会的なアダルト・コンテンポラリー色で。親世代もジェネレイションが移り、保守的様相も消え、カントリーにそれがなりかわっただけ。唯一異色作(?)となる”スーパー・アイドル”ゆえがハンソンでした。

で、今世紀、どうなったかというと。厳かになりましたね、ひたすらに。コンピレイション物を除き、5組もいるクラシカル系をベースに、ジャズ、”アメリカン・アイドル”系ポップ、アダルト・オルタナティヴなポップ・ロックと、音楽的に多少異なっていますが、しっとりとしたムードに包まれるのは似たりよったり。ファミリーが集っていようがいまいが、煩いくらいわいわい騒いでいるようすはうかがえません。米国人らしからぬ感じ。騒ぐキブンの御時世じゃないと……。

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