The Crazy World Of Arthur Brown

Songs – One Hit Wonders

Fire / The Crazy World Of Arthur Brown

– Z –

ブリティッシュ・サイケデリック・ロックの典型例の一つともいわれ、正に燃え盛る炎の如く、世界的にビッグ・ヒットを果たした”Fire”は、ザ・クレイジー・ワールド・オブ・アーサー・ブラウンというくそ長ったらしい名の英バンドによる、2ndシングルとして1968年6月英国、9月米国でリリース。そのおどろおどろしいパフォーマンスが功を奏したかどうかはともあれ、’68年8月14日付英ランキングでNo.1に。さらに、10月19日付米Billboard HOT100で最高第2位に輝くヒットとなっています。しかもそのときトップを譲らなかったのがビートルズの9週連続No.1ヒット”Hey Jude”だったわけで。もしかすると英・米でNo.1を奪うベストセラーになっていたかもしれない爆発的なヒットぶりでした。実際米国内においてさえミリオンセラーに達しています。

アーサー・”ブラウン”・ウィルトンは、’44年6月24日、英ヨークシャー生まれのシアトリカル・ロック系シンガー・ソングライター。そもそもは学究肌で、哲学と法律を2大学で学んでいましたが、ロンドンの音楽的誘惑に落ち、ミュージシャンの路へ。ザ・フーのピート・タウンゼントに認められ、レコーディングを果たしています。ちなみにその流れから、ザ・フーのマネイジャーにしてレーベル・オーナーのキット・ランバートがプロデュースをつとめた際、共にピートも携わっています(さらにこの曲自体、’89年リリースの彼のアルバム”The Iron Man”でカヴァー)。

ただし、さすがにその衝撃的なヒット(と、パフォーマンス)の煽りをくったか、続く曲”Nightmare”は米107位、米国盤のみでカップリングされたB面、スクリーミン・ジェイ・ホーキンスでおなじみの”I Put A Spell On You”のカヴァーも共にエントリーしたものの最高第111位と、100位以内にすらのれず(英ランキングにおいては影もかたちもなし)。イッパツヤになってしまったのは、やはりあまりにも濃すぎたためかと。

猶、本作品のレコーディング時は関わっていませんが、ツアー時にドラムを叩いていたのが、後のエマーソン・レイク&パーマーのカール・パーマーだったりします。しかし、結局以来正式メンバーとして加わったパーマーが、’69年、オルガンのヴィンセント・クレーンと共にアトミック・ルースターをつくったのを機に、バンド自体空中分解。短くもおぞましい、否、華やかなキャリアに終止符を打っています。

アーサーはその後、キングダム・カムというバンドをつくったり、’75年はザ・フーのロック・オペラとして知られる英映画”Tommy”に牧師役で出演等、ソロ活動含め、今も尚、細く長く暮らしているもよう。イッパツヤとはいえいまだにこれ1曲で売りものになるため、’11年も、グラストンヴェリーを始め、メルトダウン等いろいろなフェスティヴァルで大喝采を浴びてもいます。いまはもういつでも炎を燃やすわけではありませんが……。まァ、燃やせばそれはそれで別の意味合いでおもしろいものになっていますけどね。だって、いまやそのアタマも、(痛みをともなうほど熱かったパフォーマンスのせいもあってか?)サイドを残し、てっぺんがキレイに禿げあがっているわけで。つまり、炎の冠を外すとそこにはつるっと……。

<了>

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