The Revered 翁 Tony Bennett

齢85歳……老いたりといえども、消え去るどころか、我が世の春(?)を迎えてしまった名うてのシンガー、トニー・ベネット。

我が国でもきょう、ついにそのアルバム”Duets II”がリリースされました。すでに、発売済の米国内でBillboard10.8付アルバム・チャートのNo.1に初登場。我がブログにおいても、それまでのタイトルホルダー、ボブ・ディランと絡めてお伝えしているように(9.29号のコラム)、85歳にして生涯初のNo.1だったため、いろいろな新記録達成話が大絶賛と共に飛び交っています。

ついでにもう一つ、付け加えておくと、彼の同アルバム・チャート初エントリーが1957年の”Tony”(ちなみにこのアルバムに”Duets II”のトラックと同じ曲”It Had To Be You”が収められています)でしたから、初のNo.1までざっと54年と8か月弱程かかったということに。同記録についてのそれまでのタイトルホルダーが、今、私生活でHOTなニール・ダイアモンドで、’66年 “The Feel Of Neil Diamond”~’08年”Home Before Dark” の41年と5か月でしたから、正にぶっちぎりですね。

さらに、シングル・トラック曲に目を移してみると、エイミー・ワインハウスのフィナーレともなった”Body And Soul”が、Billboard10.1付HOT100で第87位へエントリー。それによって、”Young And Warm And Wonderful”がランクされた’58.8.4付のHOT100第1回以来、”Body And Soul”がランクされた1週間前の’11.10.1付に至る、実に53年2か月の長きにわたって、ランキング記録上で彼の名を見られるようになりました。もちろんずっとランキング中にいすわっていたわけではありません。HOT100においては’68年、100位以下をいれても’73年くらいから遠ざかっていたので、内38~43年雌伏の時となりますが。

いずれにしろ、ヒットチャートからいったん消え、長いインターヴァルを経て再び蘇ったりするのってそう叶うことじゃありませんからね。たとえ、ライヴなどを基に息の長いトップ・スターでありつづけていたにせよ。ゆえにそれがいかに凄い出来事なのかがわかります。

しかも、実はHOT100の確立化以前のランキングも数にいれるなら、’51年のNo.1ヒット”Because Of You”からとなるため、なんとスパンは60年にふくらむ、と。

声の質量共に衰えがみえたとしても、さすがにそのシャレたセンス、ニューヨーカーらしいソフィスティケイトされた佇まいが変わろう筈もなく。歳を重ね熟しきったそれが、むしろ魅力的に映るとするなら、さらにスパンも伸びつづけるでしょう。

畏るべし……。

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