The Band Perry / The Band Perry

Summer Holiday Special : Penguin’s Album Reviews

16 The Band Perry / The Band Perry (2010)

夏の朝、目ざめてみたら、もったいないくらいうららかで。よっしゃあ、きょうこそはやるぞ! 何をやるかはわからねど。そんな時に聴く、とりあえずの1作。何も思い悩む必要無し。ただひたすらリズムをとりつつ、にこにこしながらノっていれば、心がかるくなるみたいな。おとなしくはありませんが、はしゃいだりもせず。深くはありませんが、おキラクでもあらず。わくわくさせられますが、騙し無し。何か腑に落ちるというか。自然体でストレート、生なりの音が紡がれている……そんな感じです。

ヴォーカルの姉キンバリーを核に、ベースの弟リード、さらにその下の弟でマンドリン、ドラムス、アコーディオンを司るニールらからなる、米国南東部をルーツとするファミリー・カントリー・トリオ、ザ・バンド・ペリー。新世代のカントリー界をしょってたつアクトの一つといわれる彼ら、2010年リリースの当デビュー・アルバムがそのまますんなり出世作となっています。

そりゃまあ、カントリーですからね。風土的な臭みもかすかに漂ってはいます。ただしそれは、なんでもかんでも『いなかはいいぞー』となっちゃうような昔ながらのそれとは異なったものです。安酒場でたまたま知り合い、共に酒を酌み交わしたりしたら、親しくなれそうなタイプとでもいえるでしょうか。

キンバリーが自ら語る「パパのローリング・ストーンズで寝かしつけられ、ママのロレッタ・リンで目ざめさせられた」という原体験にのっとって、音色的にはずばりカントリーとロックンロールのクロスオーヴァー。フォーキッシュなタッチも匂わされますが、たんにそれらしくはならず。あくまでもはつらつとして、潔く、アグレッシヴに決まっています。

おきゃんなテイラー・スウィフトふうなキャラクターのキンバリー姐さんがなかなか威勢良し。声そのものは愛らしいのに胸のすく歌いっぷりに酔わされます。ボーッとしていると、正にそのHonky Tonk Girl……伝統的な安酒場の看板娘という佇まいに惚れ、身ぐるみ剥がされてしまいそう(騙し無し^.^;)。実際本作品に収められてはいませんが(似た曲は有り)、ライヴのレパートリーとしてストーンズの”Honky Tonk Women”が歌われていたりもします。

ところでそんな姉に比べ、存在感がいまいち薄いのは弟のリードとニール。姉貴も絶世の美女ってわけじゃなく、まァかわいいかなってところですが、弟たちたるや哀しいくらいイケテナイし。それもその筈。’83年に生まれたキンバリー、’88年のリード、’90年のニールと結構歳が離れてもいるうえ、そもそもが15歳で姉が歌い始めたおりに、弟たちはそのローディーをやっていたという。いわばローディー上がりですもんね。頭が上がるわけがありません。ま、というのはジョーダンで、曲・音の作りにも共に携わってジミーに良い味を添えています。

ロックンロール寄りのものから、カントリー寄りのものまで、それぞれにいい曲がつまっていますが、ハイライトとなるのはやはり米国内のみでマルチミリオンダウンロード・ヒットを果たした”If I Die Young”ですね。シングルとしてリリースされたのは’10年6月7日。カントリー系のランキングでトップを奪い、ポップでもそれなりにヒットしています。そして、いったんはダウンしましたが、再浮上。Billboard’11年8月6日付号のHOT100で、なんとエントリー35週にしてトップ15(同20日時点で最高位14位をキープ後ダウン)にランクされるというロング・ヒットぶりを示し、1年以上たった今もなおヒット中という息の長い曲になりました。ギター、バンジョー、マンドリン、アコーディオン、フィドルなどで綴られるアコースティックでナチュラル、美しくも哀しげな響きにのってしんみりと歌うスウィートなその声が、くっきりと胸に刻まれてあとをひきます。

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