Teenage Dream / Katy Perry

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14 Teenage Dream / Katy Perry (2010)

華、ですね。ひとことで表すとしたら。それも、ただの1点も曇りなき華。常に真っ晴れカリフォルニアで培われたものでしょうか。そのあっぱれなパフォーマンスに暗い陰は全く見あたりません。

それはもう哀しいくらいに……え!?

聴くそばからのせられ、頭が真っ白になるため、面倒臭いことから逃れたいときに良く聴いています。ただし、目一杯ゲンキな歌についていくにはそれなりのパワーも要るため、あまりにもダウンぶりがひどいときはお奨めできませんが。

ツキヌケタ感のある一風変わったファッション・センスとはうらはらに、案外真面目な人でもあったりする、1984年10月25日、米カリフォルニア州サンタバーバラ生まれの不思議麗人シンガー・ソングライター、キャサリン・エリザベス・ハドソン。2008年のミリオンセラー・ヒット”I Kissed A Girl”でタイムリーにスターダムへのしあがったシンデレラと見られがちですが、宣教師だった母メアリー・ハドソン(結婚前の姓がペリー)の許、幼いころから教会等で歌い、ハイスクール1年の時からすでにプロフェッショナルの道へ。’01年、ケイティー・ハドソンとしてクリスチャン・ロック系のアルバムでデビューしたものの、うまくいかず。宗教系の出ゆえに、真面目に精進果たした末、ちょっぴりたがを外してみたら、ブレイクアウトしたというしだい。

そして、通算第3作、ペリー名義第2作として’10年の夏8月にリリースされたアルバムがこの”Teenage Dream”でした。

彼女自らコンセプトとしてファンの欲求通り”きっぱりとポップ”なものをつくることを宣い、公約通りになっています。作曲制作陣も、ビヨンセのNo.1ヒット”Irreplaceable”などで知られるノルウェーのスターゲイトを始め、ワンリパブリックのNo.1ヒット”Apologize”などをつくったグレッグ・ウェルズ、さらにクリストファー・”トリッキー”・スチュワート、ドクター・ルーク、マックス・マーティン、エスター・ディーンら、今をときめくヒットメイカーが勢ぞろい。ヴァラエティに富んでいるというか、いろいろいかにもどこかで聴いたことがあるようなフック、コーラスワーク、サウンドアレンジメント……ポップ・ヒットのエッセンスがちりばめられています(ロシアの我がまま娘デュオt.A.T.u.とかも想い出したり)。

しかし、それだけではただの売れ線少女音楽にすぎません。そのうえにケイティーのすなおに一直線なヴォーカルがのっかって、初めてすがすがしいダンスポップアンセムとなるのです。ハイトーンで伸びのあるかわいらしい声が、アグレッシヴでありながら、おしつけがましくならず、ゲンキいっぱいの歌にのせられてしまうキメテといえるでしょうか。さすが、エヴァンジェリストの血! ここは一つ、抗うより、騙されて……。そうすれば1日、朗らかに過ごせるかも。

猶、スヌープ・ドッグがフィーチャーされた”California Gurls”をかわきりに、”Teenage Dream”、さらに”Firework”、カニエ・ウェストがフィーチャーされたニュー・ヴァージョンの”E.T.”、そして”Last Friday Night (T.G.I.F.)” と、今現在5曲の米No.1ヒットを生み、本作品自体もNo.1に輝いています。

そんなきらびやかなヒット曲の陰に隠れ、”Who Am I Living For?”の様なスリリングに決まった絶唱系佳曲もあり、あなどれません。

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