Undermind / Phish

Summer Holiday Special : Penguin’s Album Reviews

6 Undermind / Phish (2004)

アツイ、というより、アズイ、というより、スゴイ……”太陽殺人熱線”絶賛発光中の夏本番(暦のうえでは秋)、御機嫌いかがですか?

夏といったら、想い浮かぶものの一つ、フィッシュ。夏に最も似つかわしいアクトの一つ、でした。いや、……です。すっかりだまされましたよ、うすうすわかってはいましたが。

これぞ、ジャム・バンド! 正にバンド中のバンドといえるでしょう。1983年、ギター&ヴォーカルのトレイ・アナスタシオを核に、米東部ヴァーモント大学内で結成後、クラブ廻りから始め、’90年代半ばごろにはグレイトフル・デッドを継ぐともいわれる熱狂的人気を誇るライヴ・バンドへのしあがった四人衆。’04年リリースの”Undermind”は、衝撃の“解散”発表により、実質上最後のオリジナル作となる(筈だった)通算13作目のスタジオ・アルバムでした。

誰がどうプレイしたら、誰がどうとらえ、しかる後みんなでそれをどうとりまとめていくか? 四人四様非凡な音を発していながら、それがすべてほかの人の作り出す音と密に繋がっているのがわかります。誰もがほかの誰かのために音を紡いでいながら、強いられるわけではないという。真のコンビネイション! さすがひとたびパフォーマンスを始めれば4時間程は続くといわれるライヴ・ジャム・バンドだけのことはあります。

プレイの質については、アメリカン・バンドとして疑いなく最高峰の力をもつ彼ら。それに基づいた音世界が閃きます。ふわり浮かんで快く弾むドラムス、緩めかと思いきや支えはしっかりのベース、心の琴線触れまくりの夢心地キーボード、一見優しそうにみえつつ荒く胸を騒がせるギター、そして案外甘く温もりあふれるヴォーカル。それらがあいまって、彼らならではのサイケデリックでかつエレガントなロックがしなやかに決まっています。曲もメロディアスで、親しみのわく美しいものばかり。もちろんもとよりポップに当てようなどとは思ってもいませんが。実際彼らはこれまで6作のゴールド・アルバムを出していますが、きっぱりただの1曲もポップなシングルヒットはありませんし。

本作で終焉を覚悟していたからというわけでもないでしょうが、流れがすっきりまとまって心地良し。和気靄々楽しげに作られたようすが伝わってきます。フィナーレにふさわしくストリングスがフィーチャーされたドラマティックな曲の終了後、オマケで(?)あっと驚くア・カペラ曲が。これが案外清らかで快いんですよね、らしくもなく。

それにしてもこんないいバンドがなくなってしまうなんて……と、寂しさに浸ったものです、あのころは。

けれど、いつまでも寂しくはありませんでした。だってその後も、ライヴ盤を出したりしてくれましたから。そして、爽快に幸福な裏切り。’09年、まるで悪びれず再結成、25周年記念新録作(計算上もいいかげんすぎ)としてスタジオ・アルバム”Joy”がリリースされたのです。

うそつきなフィッシュのみなさん、楽しかったですか、長い夏やすみ。

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