You Raise Me Up

Eternal Songs Kaleidoscope 佳曲萬華鏡

Careful 4 : You Raise Me Up / Celtic Woman

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ちなみにその曲の基になったのは、(現英国)北アイルランドのカウンティ・ロンドンデリーの伝承的アリア”Londonderry Air”。古くから愛されたトラディショナルだけに、いろいろな曲のルーツとなっていますが、とりわけよく知られるのが、”Danny Boy” ですね。英国人フレデリック・ウェザリーが1910年につくったその詞を、’13年に伝承歌のメロディーに当てはめたところ、大流行。とくにアイリッシュ系の北米人による賛美歌として世界的に広まりました。つまり、『ダニー・ボーイ』と『ユー・レイズ・ミー・アップ』……なんと『ロンドンデリー・エアー』を母とする義兄弟(!?)ということになるわけです。似ている筈ですね。

古き伝承歌が、’55年4月19日、ノルウェーの生まれのコンポーザー&キーボーディスト、ロルフ・ロヴランドと、’63年1月25日、アイルランド生まれのフィドラー&ヴォーカリスト、フィンヌーラ・シェリーによるデュオ、シークレット・ガーデンのアルバム”Once In A Red Moon”の1曲となりかわってリリースされたのは、2002年の春3月。ブライアン・ケネディー(ヴォーカル)、リアム・オフリン(イーリアン・パイプ/ホイッスル)、ロンドン・コミュニティ・ゴスペル・クワイア、そしてアヌーナらそうそうたるゲストを迎えてのものでした。厳かなる歌と共にファンタスティックな音世界が決まっています。そもそもはロヴランドが”Silent Story”というインストゥルメンタル曲としてつくったものでした。しかしその後、(彼がその’98年発表の初小説”The Whitest Flower”を読み、インスパイアされたという)アイルランドの小説家でソングライターのブレンダン・グレアムに頼み、詞が付けられています。

正に伝統踏まえてつくられた、21世紀発のマスターピース。

ビッグ・ヒットを果たしたウェストライフを始め、ベッキー・テイラー(’03年)、ダニエル・オドネル(’03年)、ローナン・タイナン(’03年)、シセル(’04年)、ラッセル・ワトソン(’05年)、イル・ディーヴォ(’06年)、ポール・ポッツ(’07年)等、全世界で125作以上のカヴァー・ヴァージョンが生まれているそう。しかしその中でもやはりデイヴィッド・フォスターのプロデュースによるジョシュ・グローバン、そしてケルティック・ウーマンのそれはとくに魅力的なものといえるでしょう。

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