ATLANTIC

Record Makers’ Rhapsody

vol.5 ATLANTIC

-4-

そんなアーメットが、或る英国人ホワイト・ブルース・ロッカーに初めて惹かれたのも、同じ’66年。英ツアー中のウィルソン・ピケットの為にロンドンのスコッチ・クラブで行なったパーティーの席でのことでした。パーティーは、人気絶頂時のソウル・スターのそれだっただけに、業界人で埋め尽くされます。店はごったがえし、いろいろなミュージシャンがかわるがわるジャム・セッションをしていましたが、彼がピケットと飲んでいたところからは誰が演っているのかわかりませんでした。「そのうちに凄くブルージーなギターが聴こえてきたんだ。私はてっきりそれがピケットのバンドのギタリストだと思ってしまったんだよね。で、『君のバンドのギタリストはさすがにうまいな』と言ったら、ピケットが言うんだ。『俺んところのギターはカウンターで飲んでいるぜ』と。で、見に行ってみると、虫も殺さぬようなかわいい顔した男が弾いていたんだ。 B.B.キングみたいなのをね。私はすっかりそのプレイに魅せられてしまった」。

それが、エリック・クラプトンでした。アーメットはさっそくそのかたわらにいたマネイジャー兼プロデューサーのロバート・スティグウッドとサイン。そしてその4か月程後、クラプトンを核にしたサイケデリック・ロック・バンドの雄、クリームが生まれたのです。

クラプトンは、クリーム解散後も、ブラインド・フェイス、デラニー&ボニーのバンド・ギタリスト、デレク&ザ・ドミノズなどを通じ、アトランティック=アトコ所属英ロック・アーティストの筆頭株にいすわる事になります(ほとんどが米国内のみの発売権に止まってはいましたが)。<つづく>

Leave a comment