HAWHOKKKEKYO 真説大衆音楽”洋”語辞典
festival
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祭……ですね。けれどひとくちにフェスティヴァルといってもいろいろあります。それをルーツからひもとくとなると、かなりたいへんな事になりますので、とりあえず良く話に出てくるものから、一つずつとらえてまいりましょう。まずは、今の様なロック系中心の”フェス”ムーヴメントをリードしたものから。となればやはり”ウッドストック”でしょうか。
1969年8月15~17日、ニューヨーク州ベセルで行われた伝説的音楽イヴェント。一応40万人が集まったといわれますが、柵を乗り越えられ、なしくずしにフリー・コンサートになっちゃったので、真の動員数はわかりません。ジャニス・ジョプリン、グレイトフル・デッド、ジェファースン・エアプレインら、サイケデリック・ロックのエース陣を始め、クリーデンス・クリアウォーター・リヴァイヴァル、ザ・バンド、ザ・フーとかが集うライヴそのものはどれも音楽史に残るエキサイティングな出来栄え。結成2本目のライヴをハート・ウォーミングな良いムードにまとめたクロスビー、スティルス、ナッシュ(&ヤング)、取り憑かれた様に熱い歌いっぷりでドギモをぬかされたジョー・コッカー、滾るラテンの血をロックでほとばしらせたサンタナなどが、トップ・スターダムへのしあがります。客になんとか拳を突き上げさせようとファンキーに煽りまくったスライ&ザ・ファミリー・ストーンも然り。そして、米国歌を高らかに荒っぽくぶちかましたジミ・ヘンドリックスは“神”となったのです。
オーディエンスそのものも、やってくれました。マリファナはもちろん、ドラッグなどなんでもありの音楽漬けユートピア的共同生活。映画化されたものを観た人もいるでしょう。皆がオール・ヌードで身体濯ぐシーンはなんとなく象徴的でしたよね。どしゃぶりの雨でやけになったのもあるとはいえ。ともあれその場にはほのかな”愛幻想”とフリーな雰囲気が満ち溢れていたように思います。実はいろいろ良くない面も見え隠れしていましたが、当時、映画で鑑賞するしかなかった中学生の私はただただそのパワーに心を奪われたものでした。試写会で、前売券で、当日券で……と、映画館で当時計9回も観てしまったほど。似た様な人もいたんじゃないかと思います。
後の世にめちゃくちゃ影響与えるわけですよね。ホントに音楽で世界を変革しちゃえるかも、と思わせるような良い感じでしたもの……。まァ、騙されたわけですが(^.^)。ゆえにその夢を再び、と、25周年目の’94年以降、節目年にイヴェントが行われてもいます。
しかし実は、”ウッドストック”がすべての始まりだった、わけではありません。それよりも前に、凄いフェスティヴァルがあったのです。<つづく>
