Lip-sync

HAWHOKKKEKYO 真説大衆音楽”洋”語辞典

lip-sync

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もののついでに、リップシンクをホーホッケキョーしちゃいましょう。

日本語でいうクチパク、lip-syncは、そもそもが”lip synchronization”の省略語。唇の同調化……要するに、唇を重ね合わせるってことですね。ただし、そのおアイテは御本人ですが。

主としてヴォーカリストが、実際上は歌わずに、予め録音済の音に唇を合わせて、あたかもその時ライヴで歌っているかの様な振りをすることを言います。

米国内でTV創成期の頃、音楽番組等でパフォーマンスを行う際、レコーディングされたものに比べ、クオリティが低くなることを嫌い、始められました。当初基本的に生放送だったことから、突発的事故を避けたいという思いもあったようです。歌がへただからとかいうことよりも、音響技術的な面からくるものでした。

そしてもう一つ、残念な大人の理由も……。生演奏のバンドを使わなければコストが低く抑えられます。あまつさえ歌もリップシンクにしてしまえば、それはインタヴューと同じプロモーションと見なされ、ギャラを払わなくてもよかった、と。うーん、世智辛い。ともあれまあ、歌唱力のおそまつさをごまかしたかったわけではないようです。

そんなリップシンクですが、しかし、やがてライヴ、正にミュージシャンの正念場においても行われるようになります。ズバリ、歌唱力をごまかすためのものとして。そして、それは’80年代頃、ダンス・パフォーマンスなどを核とする見世場が多くなったあたりから、常道化を辿っていったのです。

はじめのうちは、ばれたらたいへんでした。アーティストとしてたちなおれないほどに。しかし、それもだんだん変わっていったのです。<つづく>


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