Simon & Garfunkel

RAGTIME

Simon & Garfunkel : The Mystery Of The Concert

<きのうからのつづき>

1993年の再結成コンサートは、営業色が強いものだったと言う人もいたようです。まァ、52歳のS&Gが突然再結成ツアーを行なうとあれば、したり顔の人がいかにも好みそうなもの言いですよね。昔は、もっとピュアだったとかなんとか。私は、金のためだろうがなんだろうが、良い歌を聴かせてくれればそれでいいので……。精神論を振り回したいファンとしてはどうしても”そうしたかった”のでしょうが、コンサートはホントにいいものでした。全盛時同等のクオリティーを保てないなら(または歳なりに良い味を醸し出しているとかプラスがないのなら)再結成などするべきでないとヘイキで宣い、どちらかというと歳を取ってからのライヴを温かくとらえてあげられない(ミュージシャンに優しくないとよくいわれる)私が観てそう思ったくらいですから。来日前チャリティー・イヴェントを一つ行なってから来たS&Gの何を観てそう感じたんでしょうね? 基本、半々の構成だったツアーのパートの一つ、ポール・サイモン・バンドのショウがそっくり南こうせつに入れ替わったのは、裏事情はともあれ、たしかにがっかりしましたけど……(私も彼は嫌いではありませんが、いかんせんお呼びでなかった)。

ところでこの時は、後日談っていうか、公演後のエピソード(?)が一つあります。いうなれば、サイモン&ガーファンクル、アンコール前の冬の怪。

2009年の再結成コンサートの時もそうでしたが、’93年も”最後の見納め公演”のムードが漂っていたため、”ジャーナリスト”も大勢押しかけました。私は、こういったものはだいたい1時間近く前に入る事にしているので、取材陣として一番乗り。舞台横の1階、1ブロック最上部まですべて取材席となっていたため、最前列にすわりました。やがてなじみのジャーナリストたちがやってきたのですが……。なぜか皆、挨拶代わりに自らがいかにS&Gの大ファンだったかをまくしたてていきます。きょうはもう仕事抜きでうれしいとか、うるさいのなんのって。さすが永遠の青春の偶像だなと、存在感の大きさを感じさせられたものです。

そしてアンコール前。S&Gが一旦袖に下がった時、ライトが点されて、私が見たものとは……。隣にいた筈の女性評論家の姿がありません。え!? アンコールがあるのに。しかもこの人、「二人は自分の青春そのものでした」とかいってなかったっけ? しかしその時はまだ事の大きさに気づいていませんでした。背すじに冷たいものを感じ、後をふりかえると、なんと公演前にはみっちり埋め尽くされていた取材席のジャーナリストが全員消えていたのです。最上部まですっからかん。計ってやってもこれほどきれいに決まるかどうか。狐につままれたような思いとは正にこのことです。公演中は当然暗く、じっと聴きいっていたため、まわりがどうなっているか、全くわかりませんでした。

それにしても、いくら終了後は帰りにくくなるからって、そんなにいそがなくても……。次に何があったとしてもね。そして、”大ファンだった”アナタやアナタ、すばらしいアンコールを聴きのがしましたよ。

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